【記者の目】日大アメフット処分…関東学連、バランス感覚に優れ理性的な判断

 日本大アメリカンフットボール部の宮川泰介選手による悪質なタックル問題で、関東学生連盟は29日、都内で臨時理事会を開いた。内田正人前監督(62)と井上奨前コーチを罰則規定で最も重く永久追放に相当する「除名」に、守備を統括する立場だった森琢ヘッドコーチを「資格はく奪」、宮川泰介選手とチームは、条件付きで18年シーズン終了まで公式試合の出場資格停止処分とした。規律委員会の調査で、反則は内田、井上両氏からの指示によるものと認定した。

  ◇  ◇

 関東学連は、多くの人が納得のできる理性的な判断を下したのではないか。世間からは対応の遅さを指摘されたが、9日の規律委設置から約3週間で調査を終え、定例理事会(6月13日)よりも前倒しで1日でも早く真相を究明しようという強い意志を感じた。

 反則指示について“言った言わない”の水掛け論になる危惧もあったが、規律委は当事者はもちろん、審判や試合を見ていた観客にもヒアリングを行い、客観的事実を積み上げた上で、前監督らの責任を認定した。若者の将来をつぶし、相手選手の命の危険性もあるプレーを誘発させた。スポーツだけでなく社会のルールを逸脱した指導者を永久追放とする処分は重いが、事の重大性を鑑みれば当然のことだと言える。

 また、当該選手への“温情”ともいえる処罰もバランス感覚に優れるものだった。反則プレーを実行した責任は免れられないが、悪らつな指導者に出会ってしまった不運には同情の余地がある。一度失敗してしまった若者から再挑戦の機会を奪わない処分は、十分理解できるものだと感じる。(アメリカンフットボール担当・藤川資野)

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