貴乃花親方改心 協会への“挑発”から一転…場所後は親方にも懲戒処分へ

 多くの報道陣に囲まれて引き揚げる貴乃花親方(中央)
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 弟子の十両貴公俊(たかよしとし、20)=貴乃花=が18日の取組後、付け人の序二段力士を暴行した問題で、師匠の貴乃花親方(45)=元横綱=が19日、全面的に事実を認め、大阪市内で開かれた臨時役員会合では八角理事長(54)=元横綱北勝海=に謝罪した。貴公俊は今場所を休場、部屋で謹慎させる。同親方は貴公俊、被害の付け人とともに協会側の聴取にも素直に応じた。その後、役員室に約3時間半も滞在し、今場所、初出勤するなど“改心”した。29日の理事会で処分が決定。貴公俊には出場停止などの懲罰が予想され、親方自身も監督責任を問われることになる。

 暴力問題で協会を非難しながら、自らの部屋の弟子が墓穴を掘った。京都府宇治市の部屋で朝稽古を終えた貴乃花親方は苦渋の表情で語った。

 史上初の双子関取の兄、貴公俊が支度部屋で付け人を殴打し、流血させた暴行問題。「事実です。確認しました」と全面的に認めた。貴公俊は稽古場に姿を現さず、同親方は「土俵に上がることはできない。ありえない」と今場所の休場を明言。部屋で謹慎させる。

 今場所直前、同親方は17年10月に元横綱日馬富士が弟子の貴ノ岩を暴行した事件に絡み、協会の対応を問題視し内閣府に告発状を提出した。今場所は初日から欠勤し、出勤が命じられると役員室に数分未満の短期滞在で退室するなど、挑発とも取れる行動を繰り返した。

 激しい対立が一転、無条件降伏とも取れる程、従順になった。同問題を協議するため臨時役員会合が開かれ、親方も経緯報告に訪れた。その場で八角理事長に「申し訳ありません」と謝罪した。

 その後、協会の聴取にも素直に応じると、午後2時に役員室に入った。同5時半、弟子の幕内貴景勝の取組を見終わった後に退室。役員室の末席で座って重い空気を漂わせながら、役員待遇委員として出勤の義務を果たす3時間半。春日野広報部長は(元関脇栃乃和歌)「全然OKでしょう」と言い、今場所初出勤が記録された。

 しかし、改心は難を最小限に逃れたい意図が見える。暴行の元日馬富士に対し、被害届を取り下げず結果的に現役引退に追い込んだ。被害の付け人は「大丈夫と言うので」(同親方)と病院にも行かず、今場所休場もしない。もちろん被害届も出す意向はない。

 29日には理事会が開かれ、処分が協議される。研修会を何度も開き、暴力再発防止を訴えてきた矢先に関取がまた暴行では罪もより重くなる。貴公俊は出場停止の重罰の可能性もある。親方自身にも懲戒処分が下る見込みだ。

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