伊東亜由子、涙の3大会連続五輪 崖っぷちから大逆転で滑り込み
「スピードスケート・ショートトラック・全日本選手権」(17日、名古屋市ガイシプラザ)
男女の1000メートルと3000メートルが行われ、大会後に平昌五輪の代表男女各5人が発表された。女子はバンクーバー、ソチ五輪代表の伊藤亜由子(31)=トヨタ自動車=が総合ランキング6番手ながら強化部推薦枠を勝ち取り、逆転で五輪切符。神長汐音(18)=小海高=は2002年ソルトレークシティー五輪の小沢美夏以来となる女子高生代表の座を射止めた。男子は吉永一貴(18)=愛知・名古屋経大市邨高=が2大会ぶり、女子は菊池悠希(27)=ANA=が初の総合優勝を飾った。
どうか選ばれますように-。平昌五輪代表選手発表、緊張のその瞬間。呼ばれるならここ、最後の1枠だ。鼓動が速い。五輪への思いは誰よりも強いはず…。「伊藤亜由子」。祈りは届いた。観客席に手を振ると、身近な人の顔が走馬灯のように浮かんできた。「やっと…」。涙をこらえきれなかった。
崖っぷちからの大逆転劇だ。9月の2つの選考会はともに振るわず、W杯メンバーから外れた。圧倒的な力を披露することが不可欠だった今大会。500メートルで2位、1000メートルで3位、1500メートルで4位と安定感を見せ、武器であるトップスピードの速さや“経験値”も評価された。
「夢」と思って挑んだ一度目の五輪はバンクーバー。「出るだけじゃ意味がない」と痛感した。メダルを掲げて挑んだ二度目のソチ五輪は惨敗。力の差に限界を感じて引退したが、両親や祖母から「もう一度滑る姿が見たい」と泣いてせがまれた。最後は「もう一度夢に向かいたい」。約1年の休養を経て、気持ち新たに氷の戦場へと舞い戻った。
9月のブレーキで折れかけたときには、同僚からの「結果が出なくてもみんな応援してる。伊藤さんは“真央ちゃん”みたいな存在だよ」という言葉が響いた。「いいところを見せたい」。はい上がる決心ができた。
「スケート人生の集大成。みんなでメダルを取りたい」。4年越しの夢舞台へ、五輪の借りを返しに行く。





