新井千鶴ついに覚醒!女子70キロ級日本勢14年ぶり金「東京五輪への第一歩」

 「柔道・世界選手権」(1日、ブダペスト)

 23歳の新井千鶴(三井住友海上)が女子70キロ級で初優勝を果たした。この階級では2003年の上野雅恵以来、14年ぶりの金メダル。女子78キロ級は前回大会覇者の梅木真美(22)=ALSOK=が銀メダル。佐藤瑠香(25)=コマツ=は3位決定戦に敗れて5位だった。日本が選手派遣を見送った男子90キロ級はネマニャ・マイドフがセルビア選手として初の世界選手権優勝を果たした。男女の11階級が終わり日本は6階級を制覇。獲得メダルは計10個となった。

 23歳の大器がついに覚醒した。念願のタイトルを手にしてもクールビューティーは表情を崩さない。新井は安定した試合運びで、外国勢の層が厚い階級で表彰台の真ん中に立った。「やっとここに立てた。本当に取りたいタイトルだった」。東京五輪に向けて確かな一歩を踏み出した。

 172センチの長身に、端正なルックスと冷静沈着な性格。常に組み手で勝り、立ち技でも寝技でも隙がない。最難関だったリオデジャネイロ五輪2位アルベアル(コロンビア)との準決勝は、体ごとねじ込んだ内股で勝利した。

 豊かな才能を持ちながら大一番で勝ち切れなかった。児玉高3年で高校総体を制し、20歳で臨んだ13年グランドスラム東京で優勝。未来のエースと期待されたが、有力だったリオ五輪代表は最後の選考大会で敗れ落選。現地で田知本遥(ALSOK)の優勝劇を眺めるしかできなかった。

 「『若いから次がある』と言われても、どんどん下から来るし、いつまでも若いと言ってもらえない。もっと上に行かなきゃと」

 迷いを断ち切るべく、今年のテーマに掲げたのは「不動」。元旦に書道家の祖父・八郎さんが記してくれた言葉だ。「ルール変更もあったが、何事にも動じず、やるべきことをやるという自分の気持ちと合致した」。自室に飾って励みにした。

 何があってももう動じない。「苦手だからできない」と毛嫌いしてきた筋力トレーニングにも着手し、海外勢のパワーに対抗した。「東京五輪への第一歩。自分の柔道をもっと高めたい」。今度こそエースの座を不動の物にする。

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