ボルトが負けた 必死に走って胸突き出して…個人ラスト3位

 「陸上・世界選手権」(5日、五輪スタジアム)

 男子100メートル決勝が行われ、今大会限りで現役を引退するウサイン・ボルト(30)=ジャマイカ=は9秒95の3位で3連覇を逃した。ジャスティン・ガトリン(35)=米国=が9秒92で6大会ぶりの金メダルに輝いた。3人が準決勝に進んだ日本勢のサニブラウン・ハキーム(18)=東京陸協=、多田修平(21)=関学大=、ケンブリッジ飛鳥(24)=ナイキ=は全員、決勝進出を果たせなかった。

 あのボルトが最後は必死だった。前を行くコールマンをガトリンとともに猛追。これまで余裕しゃくしゃくでゴールを駆け抜けてきたボルトが、最後は思い切り胸を突き出した。それでも届かずに3位。「この場所は素晴らしかった。みなさんに心から感謝している」。これが個人種目のラストラン。スタジアムを一周し、歓声に応え続けると、最後はゴール付近のトラックに祈りを捧げて、別れのキス。そして、恒例の“ボルトポーズ”を繰り返した。

 五輪で100メートルと200メートルを3連覇した無敵王者の敗因は、今大会苦しみ続けてきたスタートだった。

 号砲への反応時間は0秒183と8選手中7番目。0秒138のガトリンに大きく劣った。中盤以降も全盛期の爆発的な加速は見られず、「いつもはだんだん(スタートが)良くなるが、ひどかった」と悔しさを押し殺した。

 かつて、絶対的強さを誇った五輪金メダリストのスプリンター、マイケル・ジョンソン氏(米国)に「なぜ引退したんだ」と尋ねたことがあるという。答えは「やりたいことは全て成し遂げたからだ」。未踏の領域を突き進み、先人と同じ境地に至った。

 世界選手権で得たメダルの数は史上最多に並ぶ14個となった。銅メダルは五輪を含めても自身初だが「最高のアスリートの一人だと世界に証明してきたし、私のキャリア(の価値)は何も変わらない」とその誇りは揺らがない。12日の400メートルリレーが現役最後のレース。必ず勝って、有終の美を飾る。

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