稀勢の里 完敗の前夜から一変 絶対の形で万全の勝利「いいんじゃない」

 「大相撲名古屋場所・4日目」(12日、愛知県体育館)

 横綱稀勢の里は正代を力強く寄り切り、連敗を免れて2勝2敗と星を五分に戻した。横綱鶴竜は右足首の負傷で休場。3月の春場所から17年ぶりに4横綱となったが、全員の皆勤は3場所続けて実現しなかった。観戦した将棋の藤井聡太四段(14)の“推し力士”、平幕宇良は阿武咲を押し出して3勝目を挙げた。

 踏みとどまった。しかも、待ちに待った左四つの攻め。館内から沸き上がる安堵(あんど)の歓声に後押しされるように、稀勢の里は正代を寄り切り、星を五分に戻した。

 「いいんじゃない」。取組後、支度部屋でうなずきながら、こうつぶやいた。立ち合い、右上手で前みつを取ったがつかみきれず、手元に残ったのは相手の下がりだけ。それでも、構わず前に出ながら念願の左差しに持ち込み、ようやく絶対の形を取り戻した。

 「80%」。31歳の誕生日だった3日、祝福に田子ノ浦部屋を訪れた関係者に、左上腕部などの状態を打ち明けた。途中休場した夏場所後、横綱審議委員会からは、名古屋休場を勧める異例の意見も。それを「休んで良くなるなら、休んでいる」と突っぱねた。夏場所で目立った患部へのテーピングはなし。負傷を言い訳にせず、試練の土俵を務め続けている。

 朝稽古後、思うように使えない左について「それはそれで相撲ですから、しっかりやるだけ。今まで通りの気持ちでやることが大事」。もどかしさを押し殺し、最高位の重責と向き合う。もちろん、2勝2敗の星取りでは満足できない。わずかに差し込んだ光を、連勝街道につなげたい。

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