大野、真っ向勝負で散る 初戦敗退も大会最軽量の闘志に武道館拍手

 「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)

 男子100キロ超級の世界選手権代表最終選考会を兼ねて体重無差別で行われ、昨年覇者の王子谷剛志(24)=旭化成=が2年連続3度目の優勝を果たした。今大会最軽量で出場したリオデジャネイロ五輪73キロ級金メダルの大野将平(25)=旭化成=は真っ向勝負で会場を沸かせたが、初戦の2回戦で池田賢生(日本中央競馬会)に延長戦の末、9分54秒で一本負けした。試合後の強化委員会で、王子谷らが新たに世界選手権代表に選出された。

 武道館の畳で大の字になった世界王者に、万雷の拍手が降り注いだ。大会最小の身長170センチ、73キロ級の男が100キロ級の相手に真っ向勝負を挑み、玉砕した。大野は悔しさをかみしめながらも「自分の信念を変えずに表現できた」とすがすがしい表情を見せた。

 会場ではこの日一番の歓声。少年たちが「大野選手ファイト!」と声をからした。リオ五輪以来の復帰戦となった大舞台で、金メダリストとして刻みたかったのは日本柔道の魂だ。「小細工なしで正しく組んで正しく技を掛ける」。73キロ級で戦うときと何も変わらない。得意技の内股を仕掛け、一回り大きな相手を浮かせた。一回り大きな相手にリスク承知で奥襟をつかんだ。

 「小さい体でバカじゃない?とか、無謀と思った人もいたと思う。でもそういう選手がいてもいいし、自分がブレないことが大事だった」。恐怖心はあったが、このスタイルは大野の生き方そのもの。「いばらの道から逃げたら自分が自分でなくなる」。前に出る姿が人々の心を打つ。

 再挑戦への意思を問われると「もちろんある」と即答。次戦は明言しなかったが、今年は世界選手権出場を見送り大学院の修士論文執筆に集中する。「この負けがあったと言える柔道をしていく」。回り道に見えても、すべては五輪2連覇につながる道だと信じる。

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