氷と交わした再会の約束…羽生結弦がプレ五輪で掴んだもの

 ずいぶんと長い間、“話し込んでいた”。1年後に迫った18年平昌五輪のプレ大会として、韓国・江陵で行われたフィギュアスケートの四大陸選手権。フリートップの猛追及ばず銀メダルに終わった羽生結弦(22)=ANA=は、エキシビションのフィナーレを終え、リンクを去る時、しゃがみ込んで氷に触れ、何かをつぶやいていた。いつものよりも少し長く、その時間は10秒弱。伝えていたのは、感謝か、再会の約束か。

 五輪連覇を狙う上で、今大会で羽生が得たものは多い。まず本番会場での氷の感覚に、リンクの雰囲気。「楽しかった。ソチ五輪をほうふつとさせるような青を基調にしたリンク。あのときよりちょっと大きいかもしれないけど、非常に滑りやすい温度だし、氷の状態も非常によかった」-。

 最初の公式練習終了後、韓国メディアのインタビューでは、韓国語も披露。その場にいた人に聞きながら「こんにちわ。私はゆづるです。いつも応援ありがとうございます」と、挨拶。その様子は現地のテレビ局のスポーツのトップニュースでも伝えられた。羽生は訪れた国で必ずその国の言葉を覚えて挨拶する。今回もまたしっかりと現地の人々の心を掴んだ。

 そして時間。SPこそナイターだったが、フリーは五輪本番の午前10時から午後2時に近い、午前11時から午後3時に行われた。羽生自身も本番を見据えた調整法を試したようで「同じ会場で、また同じような時間でということで、実際にすごくイメージしながら試合に臨むことができた。感覚としては良かった。やってみてそんなに疲労もなく、五輪への自信にもなった」。とっさに構成を変えながら、4回転4本を跳んだフリーの圧巻の演技で、適応力を示して見せた。

 ネーサン・チェンという新たなライバルが出現し、銀メダルに終わったプレ五輪。ただ、結果以上に大きな経験を得た。羽生は「本当にこれからのスケートが楽しみで、練習が楽しみになった」と、笑った。氷と交わした1年後の誓い。もっと強くなって、この舞台に帰ってくる。

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