ボルト、3大会連続2冠 「五輪コラム」

 陸上男子のウサイン・ボルト(ジャマイカ)が、100メートルに続いて得意の200メートルでも圧勝して空前の2種目3連覇を達成した。200メートルの連覇は前回ロンドン大会のボルトが初めて。100メートルはこれまでカール・ルイス(米国)が唯一の達成者であることを考えれば、「空前絶後」となるであろうスポーツ史上の業績だ。

 ▽コーナーを疾走

 「世界記録を出す」と公言していたボルトは、スタート前は笑顔で196センチの長身をくねらすリラックスした風情。しかし、号砲と同時にすさまじい勢いでコーナーを疾走した。2009年世界選手権(ベルリン)で19秒19の世界記録を樹立した際の前半は9秒92の史上最速通過だったが、それを思い起こさせるスピードで直線に入ってきた。

 決勝進出者8人中7人が19秒台の記録を持つ顔ぶれだった。前を行くボルトとはこの時点で早くも数メートルの差がついた。100メートルで銅メダルを獲得したアンドレ・デグラッセ(カナダ)だけがわずかに追いすがったものの、力を緩めない王者は歯を食いしばってゴールラインを駆け抜けた。

 速報板に視線を送って19秒78の記録を確認。腰ナンバーをむしり取って悔しそうにトラックへ投げ捨てたのは「一番好きな競技だし、一番向いている競技」へのこだわりだったろう。それでも五輪最後のレースを終えると「僕の最後のオリンピック。リオにさよならをした」。フィニッシュ地点へ戻ってトラックへ口づけし、得意の「弓引き」ポーズで「ボルト・コール」に応えた。

 ▽勝ち切った稲妻

 稲妻と評された数年前の全盛期とは比べられない。「体が反応しなかった。年を取ってしまった」と振り返った。それでも大舞台で力を出し切れる特別の能力があったことは間違いない。本人は「すべてグレン・ミルズ・コーチのおかげ」と謙遜するが、世界選手権4大会と合わせた決勝14レース中、フライング失格となった11年世界選手権(大邱)を除く13レースで、すべて世界記録かシーズンベストをマークして勝ち切った。

 北京五輪での衝撃的なデビューから8年。タイソン・ゲイ、ジャスティン・ガトリン(ともに米国)らのライバルもいた中で、ここぞという舞台では誰にも王座を譲らなかった。それも100分の1秒差でしのぎを削るスプリントの世界で、大半のレースはぶっちぎりの圧勝だった。

 レース後には世界中のメディアのインタビューへ丁寧に答え、スタジアムを後にしたのはレースから1時間以上たってからだった。

 目指す「不滅のアスリート」への仕上げ、3大会連続3冠の最終種目は400メートルリレー。30歳の誕生日の2日前、19日の夜が「ボルト劇場」の幕引きになる。希代のアスリート最後の疾走を、しっかりとこの目に焼き付けておきたい。(船原勝英)

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