「大相撲夏場所・７日目」（１４日、両国国技館）

　新関脇の琴勇輝が横綱鶴竜を押し出しで撃破した。土俵を１周半、追い回して突きまくる気迫星。前日、初黒星を付けた大関豪栄道に続く上位食いで３勝目を挙げた。横綱戦勝利は先場所日馬富士から挙げた金星に続き２度目。横綱白鵬、大関稀勢の里が初日から７連勝でトップ並走。横綱日馬富士、豪栄道、平幕栃煌山の３人が１敗で追う。

　どう猛な猟犬のように獲物を仕留めた。琴勇輝は立ち合い、強烈な両手突きで先手を取ると一気に出た。回り込む横綱に脱出を許さない。速射砲のような突きの嵐。土俵を１周半グルグル追い回すと、鶴竜の足はたまらず土俵外に飛び出た。

　「場所に入って一番いい相撲。足の運び、手の運び、しっかり足も出た。相手の引きにも対応できた。正々堂々、自分の相撲で勝ててうれしい」。分厚い胸を張り、磨き上げた突き押しを誇った。

　豪栄道に土を付けた前日に続き、連日の上位撃破。先場所は初金星を挙げて号泣したが、今回は冷静。「こういうところで相撲が取れるのを楽しんでいる」と、館内の優勝額などを見回す余裕があった。

　今場所から雄たけび「ホウッ」をやめた。気合注入法に試行錯誤したが、前日からまわしを１回たたき「しゅっ」と声を出す方法に決定。初日からの３連敗から完全復調した。

　癒やしの時間は部屋近くの銭湯に通うこと。「風呂仲間は僕がまげ結ってない時から知ってるから。何も言わなくても気持ちが通じる」と“湯友”とのひとときで日々英気を養う。

　８日目の相手は横綱白鵬。「考えてどうこうなる相手じゃない。思い切っていく」。あふれる“勇輝”でぶつかるのみだ。