“元祖・山の神”今井 日本人最高7位

 「東京マラソン」(22日、東京都庁~東京ビッグサイト、42・195キロ)

 男子は世界選手権(8月・北京)の代表選考会を兼ねて行われ、“元祖・山の神”今井正人(30)=トヨタ自動車九州=が日本歴代6位の2時間7分39秒で日本人トップの7位に入り、代表入りを有力にした。日本選手の2時間7分台は12年大会の藤原新(現ミキハウス)の2時間7分48秒以来3年ぶり。エンデショー・ネゲセ(エチオピア)が2時間6分00秒で初優勝した。女子の日本勢は扇まどか(十八銀行)の2時間30分25秒の7位が最高で、ベルハネ・ディババ(エチオピア)が2時間23分15秒で制した。

 10度目のマラソンで、今井が初めて笑顔でフィニッシュラインを駆け抜けた。アフリカ勢には離されたものの、最後まで力強いストライドで食らいついた。自己記録を1分51秒更新し、日本歴代6位のタイムでゴールした後、92年バルセロナ五輪銀メダリストの森下広一監督とがっちり握手を交わした。

 「ずっと期待を裏切り続けてきた。マラソン選手として、やっとスタートラインに立てた気がする」。過去の自分を乗り越え刻んだ新たな一歩に、充実の笑みが浮かんだ。

 箱根駅伝での“山の神”の栄光は、マラソンでの低迷に影を落としてきた。森下監督は「山の神と言われて、周りの期待に応えないといけない重圧があったと思う」と振り返った。

 それでも積み上げてきたものと、守るべきものが男を強くした。10年に元アナウンサーの麻美夫人と結婚し、2男に恵まれた。森下監督は「いい意味で開き直れた。オンオフの切り替えができるようになり、器が大きくなった」と成長に目を細めた。

 この日も沿道からは「山の神!!」と声援が飛んだ。今井は「好きなように呼んでもらえたら」と苦笑いしつつも「これで、ちょっとはそう呼ばれるのも少なくなるかな」と本音ものぞかせた。

 世界選手権代表入りは“当確”。日本陸連のデータでは、暑さへの高い適応力を示しており、夏の大舞台で期待はさらに高まる。日本人トップでの8位以内入賞なら、16年リオデジャネイロ五輪代表に内定する。

 「そこを目標にしていかないといけない」。“神”の幻影を切り離した30歳が、低迷する日本男子マラソン界のけん引役として走り出した。

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