「ノルディックＷ杯ジャンプ女子個人戦第１４戦」（１日、ルシュノブ）

　ソチ冬季五輪後初戦で、高梨沙羅（１７）＝クラレ＝が１００・５メートル、９９メートルの２５２・０点で今季１１勝目となる通算２０勝目を挙げ、５試合を残して２季連続の個人総合優勝を決めた。通算勝利数はノルディック複合の荻原健司を上回り、日本選手単独最多となった。伊藤有希（１９）＝土屋ホーム＝は９５・５メートル、８７・５メートルの２２１・６点で３位となり、２度目の表彰台に立った。

　衝撃的なソチでの敗戦を引きずらなかった。１７歳の高梨は五輪４位のショックに沈み込むことなく「次にできることを考えた。それが総合（のタイトル）を取ることだった」と前を向き、五輪後初のＷ杯で２季連続の個人総合制覇を決めた。

　五輪金メダルのフォクト（ドイツ）、銀メダルのイラシュコ（オーストリア）が負傷で欠場した試合は、春めいた陽気で飛躍には不向きな風が吹き、失速する選手が続出した。その中で高梨だけは別格だった。

　今季Ｗ杯は１４戦１１勝。勝てなかった３試合も表彰台に立った。昨季世界選手権女王で最大のライバル、ヘンドリクソン（米国）が膝を痛めてほとんど不在で、気持ちを高ぶらせるのにも苦労しながら、勝利を重ねた。

　Ｗ杯通算勝利数を日本人単独最多の２０とし「一戦一戦ベストを尽くすことを心掛けて飛んでいる。その結果が出た」と喜んだ。常に最善を尽くす姿勢が、追い風の悪条件と重圧に屈した五輪の悪夢を振り払い、新たな勲章につながった。