電撃引退の新谷、今後「すべてが白紙」

 ロンドン五輪代表で、昨夏の世界選手権女子1万メートルで5位入賞を果たした新谷仁美(25)=ユニバーサルエンターテインメント=が31日、東京都内で記者会見し、右足足底筋膜炎が完治しないことを理由に現役引退することを正式に発表した。今後については「すべてが白紙」といい、独自のキャラを最後まで貫いて表舞台から去った。

 世界を向こうに果敢に戦った希代のランナーが、25歳の若さで電撃的にスパイクを脱いだ。「本日をもって陸上競技を引退します」。新谷はスッキリした表情で揺るがない決意を語った。

 直接の原因はロンドン五輪後に患った右足足底筋膜炎だった。「手術をしても治るのは五分五分と言われ、そこで初めて(13年の)世界選手権にすべてを懸けようと思った」という。その世界選手権では9500メートルまでアフリカ勢を相手に先頭を走ったが、力走及ばず5位。“プロ意識”が強く「プロとしてメダルを取ることが使命だと思ったが取れず、プロとして失敗した以上ピリオドを打つしかないと思った」と決意を固めた。自身の決断については「やっとこの舞台から降りられると思った。手術してまで陸上を続けたいかと自分に問い掛けたら、すぐ返事は出た」と未練がないことを強調した。

 時折笑顔も交えながら会見していたが、話題が家族に及ぶと「母は私のいきすぎた体重コントロールを見て、すごいつらかったと思う。親は自分の子が笑って楽しい人生だったと言うのが一番だと思うので、私は親孝行できたのか不思議だった」と涙を流して言葉を詰まらせた。身を削る戦いは心身ともに限界を迎えていた。

 指導を受けていた佐倉アスリート俱楽部の小出義雄代表からは「今後は元気でいてくれればそれでいい」と言われたという。「監督も最後は私の好きな言葉を言ってくれた」と感謝の言葉を口にした。今後については「やってみたいことはない。あすから何をしているのか自分も想像できないので、あすが来るのが楽しみ」と晴れやかな表情で語った。果敢なレーススタイルそのままに、第二の人生も全力で駆け抜ける。

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