ヒートの3連覇なるか?NBA開幕へ

 NBAの2013-14シーズンが現地時間10月29日に開幕する。最大の焦点はレブロン・ジェームス擁するマイアミ・ヒートが、あのマイケル・ジョーダンが率いたシカゴ・ブルズの1996-98シーズン以来のファイナル3連覇なるか。

 ヒートの優位に変わりはないだろう。レブロン・ジェームスを中心にドゥエン・ウエイド、クリス・ボッシュの「ビッグ3」は健在。戦力的に唯一不安だった高さに関しても「未完の大器」と言われたグレッグ・オデンを獲得し死角はなくなった。主力のケガ、モチベーションの低下といった戦力以外の不可抗力が働かなければ、カンファレンス制覇、さらにはファイナル3連覇を達成する可能性は十分にある。

 そんなヒートを追いかける一番手はブルズではないか。ヒザの故障で昨シーズンをほとんど棒に振ったデレック・ローズが戻ってきた。昨季はローズ抜きでも5位、卓越した守備力を誇るジョアキム・ノアやカルロス・ブーザーも健在、控えがやや手薄だが、トップに立てる戦力は整っている。チームが入れ替わったほどの補強をしたネッツも面白い。セルティックスからケビン・ガーネット、ポール・ピアース、ジェイソン・テリーを獲得、PGのデロン・ウィリアムズとかみ合えば「打倒・ヒート」は可能だ。新ヘッドコーチのジェイソン・キッドの采配も楽しみ。この2チームに引けを取らないのが昨シーズンのカンファレンス決勝でヒートをあと一歩まで追い詰めたペーサーズだ。主力メンバーはほぼ残留、成長著しいロイ・ヒバートやポール・ジョージにヒザの故障で昨シーズンを棒に振ったダニー・グランジャーがミックスされれば、昨季決勝の逆の結果を導くかもしれない。

 その他でプレーオフ出場(勝率上位8チーム)が堅いのはニックスとホークスか。ニックスは昨季得点王のカーメロ・アンソニーが健在だが、言い換えるとカーメロ頼みのチームになっている。オールスターメンバーだったアマレ・スタウドマイアーが復活すれば上位を脅かす存在になれるかも。ホークスはチーム得点王だったジョシュ・スミスが抜けたものの、アル・フォーフォード、ジェフ・ティーグなど平均点以上の選手はそろっている。とはいえ、プレーオフ進出がやっとだろう。セルティックスは大物二人が抜けて新しいチーム作りに入る。ラジョン・ロンドを中心に将来を模索していくだろう。最後にひょっとすると、と思わせるのがキャバリアーズ。昨シーズンをヒザの故障で棒に振ったアンドリュー・バイナムが加入、レーカーズで過ごした一昨年シーズンのような働きをセンターですればプレーオフに滑り込んでくることも。

 上位3チームの戦力が拮抗している。まず、昨シーズンのカンファレンストップの勝率を残したサンダーは今季もケビン・デュラント、ラッセル・ウエストブルックの二枚看板が強力。ウエストブルックのヒザの回復具合は気がかりなものの、サージ・イバカ、タボ・セフローシャといった主力を支える二人も健在。ファイナルまで進出したスパーズはベテラン勢がどこまで頑張れるか。37歳のティム・ダンカン、36歳のマヌ・ジノビリ、31歳のトニー・パーカー。名将・ポポビッチヘッドコーチが彼らをだましだまし起用しながらファイナルを目指す。圧倒的な攻撃力を誇るのがクリッパーズ。クリス・ポールとホットラインを組むブレイク・グリフィンとのコンビは強烈だ。最大の補強はヘッドコーチ。セルティックスから三顧の礼で迎えられたドク・リバースに操られた選手はカンファレンスの頂点に狙いを定める。

 この3チームに続くのがナゲッツ、グリズリーズ、ウォリアーズ、ロケッツあたりか。中でも注目を浴びているのがロケッツ。レーカーズから「最強のセンター」と言われるドワイト・ハワードを獲得、前年に獲得したジェームス・ハーデン、ジェレミー・リンがかみあえばトップの座も夢ではない。補強でいうとウォリアーズもナゲッツからアンドレ・イグドラを獲得して攻撃力、守備力ともにアップ。プレーオフで3ポイントを立て続けに成功に成功させたステファン・カリーとともに上位進出を目論む。ネイト・ロビンソンが加わって攻撃力がさらにパワーアップしたのはナゲッツ。アップテンポのオフェンスを軸に5年ぶりのプレーオフ1回戦突破を目指す。ザック・ランドルフ、マーク・ガソルのツインタワーで昨シーズン唯一平均失点を80点台に抑えた守備力は健在。課題だった3ポイントもヒートからマーク・ミラーを獲得して戦力をアップさせた。

 ここまで名前を挙げることができなかったのが名門レーカーズだ。高齢化に伴う故障への懸念で上位には推せない。アキレスけん断裂で昨季のプレーオフに出場できなかったコービー・ブライアントは驚異的な回復力を見せているものの、今季で35歳に。39歳のスティーブ・ナッシュ、33歳のパウ・ガソルも故障を抱えておりフルシーズン働くのは難しい。プレーオフに進出できれば上出来だろう。レーカーズ以上に凋落が著しいのがマーベリックス。10-11年シーズンではファイナルを制しながら、急激に守備力が衰え、オフェンスも相変わらずダーク・ノビツキー頼みで進歩が見られない。最後に台風の目になれる可能性があるのがティンバーウルブス。昨季は右手の骨折で18試合しか出場できなかった五輪代表でもあるケビン・ラブが本来の力を発揮すれば10年ぶりのプレーオフも夢ではない。

(デイリースポーツ・中川 優)

◆イースタン・カンファレンス・2012-13シーズン成績▽1位・ヒート(66勝16敗)▽2位・ニックス(54勝28敗)▽3位・ペイサーズ(49勝32敗)▽4位・ネッツ(49勝33敗)▽5位・ブルズ(45勝37敗)▽6位・ホークス(44勝38敗)▽7位・セルティックス(41勝40敗)▽8位・バックス(38勝44敗)▽9位・76ers(34勝48敗)▽10位・ラプターズ(34勝48敗)▽11位・ピストンズ(29勝53敗)▽12位・ウィザーズ(24勝53敗)▽13位・キャバリアーズ(24勝58敗)▽14位・ボブキャッツ(21勝61敗)▽15位・マジック(20勝62敗)

◆ウエスタン・カンファレンス・2012-13シーズン成績▽1位・サンダー(60勝22敗)▽2位・スパーズ(58勝24敗)▽3位・ナゲッツ(57勝25敗)▽4位・クリッパーズ(56勝26敗)▽5位・グリズリーズ(56勝26敗)▽6位・ウォリアーズ(47勝35敗)▽7位・レイカーズ(45勝37敗)▽8位・ロケッツ(45勝37敗)▽9位・ジャズ(43勝39敗)▽10位・マーベリックス(41勝41敗)▽11位・トレイルブレーザーズ(33勝49敗)▽12位・ティンバーウルブス(31勝51敗)▽13位・キングス(28勝54敗)▽14位・ホーネッツ(27勝55敗)▽15位・サンズ(25勝57敗)

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