マウンドの硬さも高さも全然違う-球場あれこれ 「好き」だけど「勝てない」球場も
カープはマツダで開幕を迎え、その後は神宮球場で戦いました。今回は投手にとって球場によるマウンドの違いや、好きな球場、苦手だった球場についてお話しします。
好きな球場だからといって点を取られず、負けないという訳ではない。例えば、森下。神宮球場は明大時代の“庭”で、嫌いな球場ではないと言っているし、見ていても苦手そうな印象は感じられない。ただ、勝ち星は22年が最後。今季も3月31日のヤクルト戦は一発に泣き、勝ち投手になれなかった。自分の感覚と結果が一致しないことがある。そこに野球の難しさがあります。
私はナゴヤドーム(現バンテリン)と東京ドームが好きな球場ではなかったです。ナゴヤドームはマウンドの傾斜が非常に急で、捕手までの距離が遠く感じたのが理由。東京ドームは巨人打線によく打たれた記憶があるからです。
マウンドの仕様の違いも得意、不得意に関係しています。以前はマウンドの黒土は軟らかく、プレート付近も踏み出す足が着く場所も深く掘れていました。特に地方球場は、両足のくるぶし辺りまで土に埋まるほど軟らかいものでした。
しかし、時代が進むにつれて「メジャー仕様」といいますか、マウンドの土は非常に硬くなってきました。私の現役時代の晩年は、プレート周辺も着地する場所も全く掘れないほど、ガチガチに固められていました。硬いマウンドは、粘土質で投げれば投げるほど硬くなります。そのため、先発が100球ほど投げた後に登板するリリーフ投手にとっては、掘ることもできないほど硬い状態になっています。
皆さんも投手がスパイクの裏で、踏み出す足が着く場所を掘るしぐさを見たことがあると思います。あれは自分の「足場」を作っているのです。右投手、左投手、あるいは外国人投手。自分より前に投げた投手と、自分の歩幅(足跡)がぴったり合うことは絶対にありません。ですから土を削って、自分の足が着く場所を平らに整えているのです。だから、足場を自分に合うように削ることができない「硬いマウンド」は苦手でした。
マツダスタジアムのマウンドも硬い。以前、先発投手が、球団に「自分が投げやすいようにプレートの高さや土の硬さを調整してほしい」と要望したことがありました。一方で中継ぎ投手からは「先発は週に1回。毎日準備している中継ぎに合わせてほしい」という声も出たと聞きました。どちらの立場も理解できます。それだけマウンドのコンディションがいかに重要かが分かります。
私が好きな球場は、神宮球場でした。マウンドとの相性が良かったと思うし、実際、あまり点も取られていません。出番が回ってくると「よっしゃ、行ったろ!」と自信を持って投げていました。気持ちの占める部分も大きいです。
今はデータの時代ですから、あらゆるものが数値化されます。その数字を頭に入れることで、相性が良くない球場での登板に向けても、具体的な改善点が見つかるのではないでしょうか。(デイリースポーツ評論家)
◇横山竜士(よこやま・りゅうじ)1976年6月11日生まれ、49歳。福井県勝山市出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。178センチ、80キロ。福井商時代は甲子園出場はなかったが、1年秋からエースとして活躍。94年度ドラフト5位で広島に入団。97年に中継ぎながらプロ初勝利を含む10勝を挙げる。先発、中継ぎ、抑えと幅広く活躍し、プロ20年目の2014年に現役引退。通算成績は507試合に登板、46勝44敗17セーブ110ホールド、防御率3.42。20年から昨季まで広島で投手コーチを務めた。
