若鯉エース候補・岡田に見えた大きな課題

 セ・リーグの首位を快走する緒方広島は先週(6月27日~7月2日)も着実に白星を積み重ね、2位・阪神との差を「7・5」に広げ、独走態勢に入った。先週の当欄で「それでもライバルは金本阪神」と言ったが、その阪神がまさかの8連敗と失速。その後に連勝したものの、カープも中日に3連戦3連勝したため差は詰まらない。

 2日の中日12回戦(マツダ)で“第3の捕手”磯村がプロ初アーチを放つなど、控え選手も活躍する現状を見れば、カープに死角はほぼ見当たらない。本当に強い。

 そんな先週で唯一敗れた試合が28日のDeNA11回戦(横浜)。チーム最多の7勝をマークしていた岡田が先発し、打線も三回まで4点を援護するという展開の中、その若き右腕がまさかの大乱調を演じた。

 二回まで打者6人を完全に打ち取っていたが、4-0の三回急変した。先頭の石川に初安打となる中前打を喫し、一死後連打の嵐に見舞われる。気がつけば6安打を集中されて4失点。4点のリードが一瞬にして消滅してしまった。

 緒方監督はここで躊躇なく岡田をあきらめ、2番手に九里を送り込んだ。7勝を挙げて実質エース的存在になっていた岡田をわずか3回で降ろすという決断をしたのだが、何も岡田を信頼していないわけではない。九里以下の中継ぎ陣の信頼性と、岡田の投球内容を考え合わせた結果だったと思う。

 たまさか、九里が2回5失点と大崩れし、3番手・ジャクソンも2被弾を喫して試合が壊れたのだが、それは結果論。たとえチームの勝ち頭とはいえ、あのまま続投させた時のリスクを緒方監督は考慮したのだろう。

 岡田は、5月6日の阪神8回戦(甲子園)でも9点の大量リードがありながら突如崩れ、歴史的逆転負けのきっかけを作ったことがある。その他にも“急変”することがままあった。なぜそうなるのか-。野村と比較するとわかりやすい。

 野村は27日のDeNA10回戦に先発し、7回を3失点と粘って今季4勝目をゲットした。初回にロペス、六回筒香に一発を浴びながら、イニングを最少失点に抑え、代打・新井の逆転V打を待った。イニングの失点を少なくできる「投球術」が野村にはある。ピンチを背負う苦しい局面でも、自分の投球ができる。カウントが悪くなってもすべての持ち球を使って耐えることができるのだ。

 ところが、岡田の現状はそれができない。苦しくなると真っ直ぐ一辺倒の「パワーピッチ」になってしまう。カーブやフォークという変化球でストライクが取れないためだ。あの試合でもやむなく投げた真っ直ぐを狙い打たれ、痛打を喫した。いくら150キロを越す力のある速球が武器とはいえ、それオンリーになれば強力なDeNA打線につかまって当然だろう。

 野村とて苦しい時期が長く続き、課題を一つずつクリアして辛抱する投球を覚えた。その結果が去年の16勝3敗という数字だった。そんないいお手本が側にいるのだから、見て勉強すればいい。何が野村とは違うのか-と。いろんな球種のボールをいろんな局面で投げられてこそ、ベンチが信頼できる投手になれる。3回で交代してしまった事実を謙虚に受け止め、先輩投手のいい面をどん欲に吸収してほしい。

 4日からの巨人3連戦で登板するだろうが、前回とは違う岡田を見てみたい。

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