侍・湯浅の周囲をとりこにする「感謝力」用具メーカー担当・丸井氏が明かす素顔

 2009年以来、3大会ぶりの優勝を目指す侍ジャパン。日本代表に名を連ねた選手たちの原点、素顔に迫る「侍外伝」の第3回は阪神・湯浅京己投手(23)。2年目から使用する野球用品メーカー・ザナックス社の担当である丸井悠平氏が感心したのは「感謝力」。湯浅との絆を感じさせる秘話を紹介し、不思議な縁で導かれた同社との“出会い”も明かしてくれた。

  ◇  ◇

 運命の赤い糸に導かれるように、湯浅とザナックスブランドとの縁が始まった。担当者の丸井氏には忘れられない光景がある。2019年。鳴尾浜のロッカーで望月や元阪神の石崎、横山と野球用具の打ち合わせをしている時に、後ろで目を輝かせる投手がいた。

 「なんかいいな~」

 純粋に見つめていた湯浅に、丸井氏も興味を抱いた。話を進めていくと、ある事実が発覚する。三重県出身かつ、父・栄一さんと丸井氏が同じ三重高出身。「それならザナックスやろ!!」と最初は2人の間では笑い話だったが、不思議な巡り合わせはここで終わらない。

 丸井氏が担当する三重県四日市市にある「クーパーズスポーツ」というスポーツ店のスタッフが、三重高で栄一さんとバッテリーを組んでいたという。出会うべくして人は出会っていく。「ご縁もあるし、サポートしたい」。社を挙げて勧誘し、プロ2年目から用具提供を始めた。

 丸井氏は「京己のとりこになってるんですよね、もう湯浅ファンです」と頬を緩める。その理由は、湯浅の人間性にあるという。「野球選手と担当者は人対人の関係。ホンマに感謝してくれているなぁと感じます」。最優秀中継ぎのタイトルを獲得した昨季、うれしい出来事があった。

 昨年6月9日に丸井氏に第3子の愛娘が誕生した際、自宅に「阪神タイガース、望月、湯浅、伊藤」の連名で出産祝いのベビー服が届けられた。後日、望月に「ありがとう」と伝えると、「段取りは全て湯浅がしてくれましたから」と回答が…。シーズン中で多忙な時期にもかかわらず、「マールマール」という人気のベビーグッズブランドを自らリサーチして、プレゼントしてくれた心遣いがうれしかった。

 「感謝力」を象徴する秘話はまだ存在する。シーズン中にスポーツ新聞各社やテレビ局からの月間表彰でブランド牛やビールが贈呈されていた。本来であれば、本人が持ち帰るモノ。それでも湯浅は違う。「丸井さんにはいつもお世話になっているので!!」と屈託のない笑みを浮かべ、丸井氏に手渡した。

 「人間的な魅力のところで僕は魅了されちゃっていますね。人への配慮、感謝の気持ちを持っているからこそ、パッと行動できるんでしょうし。僕ら担当者のモチベーションにもつながりますよね」

 湯浅自身も丸井氏への感謝は尽きない。少し恥ずかしそうにしながら、偽らざる思いを口にする。

 「昨年、結果を残せたのは本当にザナックスのすごく良い用具を提供してくださっていたからこそです。自分は丸井さんのおかげだと思うので、めちゃくちゃ感謝しています」

 ストレートな感謝の言葉に、丸井氏も誇らしげに笑っていた。9日からWBC本戦に向かう湯浅にアツアツのエールを届けた。

 「世界の舞台でも野球をやれる喜びを存分に感じながら、マウンド上で躍動してもらえたらうれしい。私たちは左手にはめているグラブ、足元のスパイク、身にまとうアンダーウエアを通して少しでも力になれれば。ザナックス社員一同、心から湯浅選手の活躍を願い、応援しています!!」

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