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徳島・大蔵“異例中の異例”中日育成枠1巡目

 中日からの育成指名を受け、会見に応える大蔵彰人(撮影・高田博史)
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 【徳島・大蔵彰人投手】文=高田博史

 大蔵彰人が「結構、異例ですか?」とこちらに尋ねて来た。中日から育成枠1巡目で受けた今回の指名は“異例中の異例”と言っていいと思う。

 「じゃあ、もう多分、それは養父さん(鐵監督)とか皆さんが推して下さったおかげだと思います」

 一気に上昇気流に乗るような強い追い風が吹いたのは、9月24日のことだ。香川と対戦したチャンピオンシップ第2戦(JAバンク徳島)、球場には中日スカウトの姿だけがあった。ほかにNPB関係者はいない。

 大蔵のことを見に来ていたわけではなかった。香川に育成派遣されていた浜田智博(中日育成)の視察に訪れていたのだ。

 だが、回を追うごとに大蔵を見つめるスカウトの視線が熱を帯びていく。

 「大蔵って何歳ですか?」

 「いい球、放るなあ。アウトコースへの真っすぐがいい。球質がいいよ」

 四回まで無安打。五回に1点を失ったが、後半に入り、ますます腕が振れ始めた。八回表、1番・具志堅竜馬、3番・岡村瑞希をともにストレートで見逃し三振に切って取ったとき、スカウトが一言つぶやいた。

 「これ、部長に見てもらいたいなあ……」

 さらに信濃と戦ったグランドチャンピオンシップでもアピールは続く。NPBから届いた調査書は、中日1球団のみである。徳島がもし勝っていなければ、指名はなかったかもしれない。

 前期はヒジを痛め、2試合しか登板できなかった。その間、養父監督の指示でトレーニングを続けている。「決め球を作れ」と言われて磨いたのがフォークボールである。いまや立派な武器だ。

 「シーズンを通して投げてるピッチャーが欲しいっていうのは聞いていたので、僕の指名はほとんどないと思っていました」

 ドラフト当日、スーツに着替えたあと、自宅の隣にある神社を参拝している。無事にシーズンを終えられたことと、日本一を達成できたお礼がまだできていなかった。あらためて手を合わせる。

 「ドラフト、もし良ければ力を貸して下さい--」

 神社をあとに会場へと向かう。願いは、通じた。

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