徳島・大谷 1試合も1球もムダにせず
【徳島・大谷真徳外野手】
大谷真徳の胸には1年が経ったいまでも「あのとき、大事なところでチームを抜けてしまって申し訳ない」という気持ちがある。昨年5月22日、本塁上のクロスプレーで左肩を脱臼し、戦列を離れた。その後、6連敗と完全に失速した徳島は「確実」と思われた前期優勝を逃している。
「去年迷惑かけた分、今年は何としてもチームの力になって優勝まで、最後まで戦い抜きたい。ずっと思ってた」
首位・香川にマジックが点灯し、あと1敗すれば優勝の可能性は消えてしまう。徳島は逆転優勝への望みを残して最終戦となる愛媛とのダブルヘッダー(6月26日、東予運動公園)に臨んだ。第1試合となった前期11回戦、躍動したのは3番・大谷だった。
二回表、大きく流れを引き寄せる2号満塁弾を右翼スタンドにたたき込む。四回にも追加点を挙げ、5打点の活躍で第1試合をものにした。
第2試合、愛媛のエース・小林憲幸と真っ向勝負を演じる。内角ギリギリを突く速球にまったく動じない。四回表には勝ち越しの3点目へとつながる三塁打を放った。
「最近『オレ、存在感あんのかな?』と思ってて。なんかもっとギラギラしたかったんですよ。去年、結果を出したシーズンで、勢いがあって。今年は『おとなしくなっちゃってんじゃねえかな』みたいな。そこにすごく悩んでて」
もっと存在感を出したい。独立リーグで一番を目指さなければ到底、上へは行けない。必死に食らい付き、1試合も1球もムダにしたくない。そんな思いで戦っている。
「去年と違った成長を見せられるか。アピールできる場ですし、今年に賭けてる分、自分のすべてを出すことに懸けたいと思います」
前期優勝決定から2日後、横須賀で行われるリーグ選抜対NPBとの交流戦に向け、旅立って行った。