【解説】広島 “困ったときの鈴木”が一躍ローテーションの一角へ? 横山竜士氏「彼は投球技術をもった投手」

 「広島4-1中日」(19日、マツダスタジアム)

 広島が逆転勝ちで最下位から脱出した。先発した鈴木健矢投手(28)は初回3連打で先制点を許したが、その後は立ち直り、六回から遠藤-辻-菊地-高-森浦の無失点リレーで逃げ切り。デイリースポーツ評論家の横山竜士氏は5回5安打1失点で広島移籍後、先発初勝利を挙げた鈴木について「ローテーションの一角を担える力がある」と評価した。

 ◇ ◇

 鈴木がDeNA戦(8月9日。6回2安打1失点も敗戦投手)に続いて先発として結果を残したね。初回こそ3連打を浴びたが、ズルズルいくことなくテンポのいい投球で、自身の持ち味が出ていた。

 彼のよさは決して速いとは言えない球速帯で、緩急を使いながら打ち取る技術にある。最高速でも130キロ台後半。ただクイックで投げたりボールを長持ちしたり、打者に揺さぶりをかけるのが非常にうまい。

 三回2死二塁の状況でボスラーから奪った空振りの三振は130キロそこそこの直球だった。

 課題は対左打者にあるのだが、ゲームを作れるだけの安定感はある。あれほど下から投げる投手は現状ではほかに見当たらないし、稀少な存在であるのは間違いない。相手打者も嫌なのではないか。

 鈴木は広島に現役ドラフトで指名され、昨年から加入している。当時はコーチだったので私も彼のボールを受けたことがあるが、浮き上がってくるように見えるから捕球するのが怖かったという印象がある。

 栗林の球を受けたときと同じような恐怖感とでも言うか。そういう“嫌な”感覚を打者も受けているのだと思う。

 移籍後は主に中継ぎで起用され、場合によっては劣勢な展開でのロングリリーフという立場。2軍時代はロング用に4、5回投げさせるよう1軍から指示を受けたことがあったが、彼が崩れたゲームは1度もなかった。

 球威に乏しいからセットアッパーというタイプではなく、むしろ先発に向いていると思う。リードされた試合のロングや1イニングではもったいない。

 今後はローテーションの一角として残っていくのではないか。斉藤優汰ら若い投手が優先されるとは思うが、それだけの力はある。9月は雨天中止となった試合の関係で大きな連戦が組み込まれているから、登板機会は生まれてくるはず。

 “困ったときの鈴木”のような感じで、非常時にお鉢が回ってきた先発マウンドではあったが、このチャンスをぜひとも生かしてほしい。

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