広島は１３日、マツダスタジアムでスカウト会議を開き、２３日のドラフト会議で創価大・立石正広内野手（２１）を１位指名すると公表した。競合必至のスター候補だが、「一番高い評価をした選手で行く」という球団方針は揺らがず、１２球団最速公表に踏み切った。

　実力と将来性を兼ね備えた至宝をクジ引き覚悟で指名する。スカウト会議を終えた田村スカウト部長は「創価大学・立石選手をカープは１位で行きたいと思います」と力強く宣言した。ドラフト戦術うんぬんではなく、「一番評価した選手で行こうではないか」という姿勢を貫き、今年の“鯉の恋人”が決まった。

　立石は今ドラフトの目玉に位置づけられ、競合は避けられないと想定されている。右の強打者で、二塁、三塁を主戦場とする内野手。２年春に東京新大学リーグで打撃３冠に輝き、今春は５本塁打、１６打点で２冠を獲得。３年夏から大学日本代表入りし、今夏の日米大学野球選手権では５試合中４試合で４番を務めるなど、世代の中心に立ってきた。

　田村スカウト部長は「近い将来の４番バッター候補として、一番高い評価をさせてもらった。打つだけでなしに、守備にしても足にしても、とにかく能力が非常に高い選手」と最大級の言葉を並べて絶賛。「なによりも勝負強い。ここで打ってほしい時に必ず打つし、走者がいない時は一発で仕留めてスタンドに放り込む。しかも彼の場合は逆方向に本塁打が打てる」とストロングポイントを挙げた。

　チームは２年連続Ｂクラスの５位に終わり、新井監督は「エースと４番、核となる選手を育てないといけない」と語っていた。昨年は同１位で右の強打者・佐々木を獲得。内野は佐々木やベテラン・菊池、首位打者・小園、昨年ゴールデングラブ賞獲得の矢野などがひしめき合う激戦区だが、得点力不足解消の糸口となり得る逸材獲得へ迷いはなかった。

　ドラフト１位の事前公表は２２年・斉藤、２３年・常広、２４年の宗山に続いて４年連続となった。昨年は１２球団唯一、今年は１２球団最速の公表。田村スカウト部長は「誠意を見せるじゃないが、カープとして立石君で行くことは決まっているので、この段階で発表させていただいた」と明かした。

　直近２年は新井監督が抽選のクジ引きに臨んでおり、今年も大役を務めることが予想される。立石は広島の隣県である山口県防府市出身。中国地方出身の金の卵を必ずカープへ迎え入れる。

　◇立石　正広（たていし・まさひろ）２００３年１１月１日生まれ、２１歳。山口県防府市出身。右投げ右打ち。１８０センチ、８５キロ。内野手。７歳から華浦スポーツ少年団野球部で野球を始め、高川学園中では高川学園シニアに所属。高川学園高では３年夏の甲子園でバックスクリーン弾。創価大では１年春からベンチ入りし、２年春に三冠王。今春は最多本塁打と最多打点でＭＶＰ。３、４年時に大学日本代表に選出。５０メートル走６秒１。