広島 2年連続Bクラス確定 今年も9月に失速 5勝12敗CS消滅 若手積極起用へ次世代育成にかじ
「巨人3-1広島」(20日、東京ドーム)
つらい…。広島が4連敗でCS進出の可能性が完全に消滅した。昨年に引き続いてシーズン終盤に敗戦を重ね、今季136試合目にして2年連続のBクラスが確定。残り7試合となった中、新井貴浩監督(48)は若手に多くの出場機会を与え、次世代の育成にかじを切っていくことを示唆した。
あのときの新井監督の言葉がよみがえる。昨シーズン最終戦後、指揮官は「さまざまなことが変化する年。変わるということは痛みも生じてくる」と2025年を見通した。2年連続Bクラスという結果が「痛み」だったのだろうか。CS進出の可能性が断たれたカープナインは一様に厳しい表情で東京ドームに詰めかけた鯉党へ頭を下げた。
「変化」の象徴である若鯉たちが帰りのバスへと引き揚げていく中、新井監督は現実を受け止めつつ、先を見た。「(Bクラス確定は)もちろん頭に入っているし。まあ今後ね、今まで以上に若い選手にチャンスが来るんじゃないかと思います」。残り7試合を少しでも実りあるものにするため、さらなる若手積極起用の方針を示した。
数字上、CS進出が絶望的となっていたこの日も菊池以外は20代というスタメンを組んだ。中村奨は一発を放ち、小園と佐々木は11戦連続安打。チーム打率・247はリーグ上位に位置し、打撃に特化した昨秋と今春キャンプの取り組みは実を結んだと言える。
ただ、打撃に主眼を置いた強化策も、高いディフェンス力がある前提の話。昨季まで指揮官が「ストロングポイント」と語っていた投手陣は今季、安定感を欠く場面が増えた。特に先発陣は二桁勝利に到達した者は現時点でおらず、開幕投手・森下は14敗。野手の拙守も増加し、少ない得点を守り抜くという昨季の好調時に見せていた戦い方は影を潜めた。
機動力や作戦を駆使した点の取り方も減り、淡泊な攻撃での敗戦も続いた。今季チーム最多となる62試合で4番起用されている末包は「僕がもっと打てれば上の順位を狙えたのかなと。打順を変えないといけない状況をつくってしまったのは自分の責任」と唇をかみしめた。
9月は月間20敗を喫した昨年と同様、今年もここまで5勝12敗と苦戦中。若手育成と勝利の両立の難しさを思い知らされている。現時点では明るい未来を予感させるものはあるが、確信させるまでのものもまだない。若手について「そんなにすぐに結果が出ると思ってない」と語る新井監督の言葉が重く響いた。ファンの忍耐力も試されている。





