広島・林 1軍再昇格へ虎視眈々 ブレずに逆方向への強い打球を意識 左越え弾で得た手応え「あとは数をやるだけ」
広島・林晃汰内野手(24)はブレない。7月中旬に1軍で2戦連続本塁打を放つなど、才能開花の兆しを見せたが、8月4日に無念の登録抹消。現在はファームで汗を流す中、年初から取り組む打撃の意識を徹底し、1軍再昇格のチャンスを虎視眈々(たんたん)と狙っている。
置かれた場所が変わってもやることは変わらない。見つけた道筋を歩む覚悟を示すかのように林はファームでバットを黙々と振り込んでいた。「オフからずっと継続しているものをやっています。(2軍に)落ちてきたからといって、あまり変えてなくて、ずっと一緒です」。悔しい思いを抱えながらではあるだろうが、まなざしには力強さがあった。
年初から徹底して意識しているのは逆方向への打球だ。「流さずに自分の打球を」。右打者が引っ張ったような打球が理想ということだろう。「そこができたら絶対に打てると思う。理想に近づけるようにと思ってやっています」と力を込める。
1軍には7月17日に昇格した。同20、21日のヤクルト戦(神宮)では2戦連続アーチも放った。特に同21日は左翼スタンドへの一発。「やっぱりやってきたことが出たので、それは自信にして継続できるようにと思ってやっています」。1軍の舞台での好結果がブレない姿勢の大きな根拠となっている。
その後はスタメン機会もありながら、安打はなかなか生まれず、8月4日に登録抹消。それでも「アプローチは自分的には悪くなかった。あとは数をやるだけというイメージですね」と前向きさを失うことはない。
そんな中で、林自身が「今年1番成長したところ」と語るのが選球眼の向上だ。昨年までは追い込まれてから低めに落ちる変化球にバットが空を切る場面が散見されたが、今年は違う。16日のウエスタン・ソフトバンク戦(由宇)では2四球を記録。「球が見えているので、四球を選べている。打ちにいく中で体の反応で見逃しできるようになっている」と話す。
1軍では同じポジションの佐々木らが活躍中だが、左の大砲は不在。「そこが自分の生き残る道」と林は言った。「1軍に上がることが自分のためになるし、経験にもなる。1軍でやらないと稼げないですし。自分を高めるしかないと思うので、いつ呼ばれてもいいようにと思って打ち込んでいる感じです」。貪欲に、がむしゃらに-。1軍で再び光を浴びるため、今日も炎天下でバットを振る。
◆林晃汰(はやし・こうた)2000年11月16日生まれ、24歳。和歌山県出身。181センチ、98キロ。右投げ左打ち。内野手。智弁和歌山高では3年春の選抜大会で準優勝。18年度ドラフトで広島から3位指名され入団。20年10月9日のヤクルト戦でプロ初安打、21年5月29日のロッテ戦でプロ初本塁打を放った。広角に長打を打てる強烈なパンチ力が武器のスラッガー。





