プロ初登板初先発で初勝利の広島・ドラ2佐藤柳之介 強いだけでなく、しなやかに、しっかりと 思い込められた一文字
「中日1-2広島」(29日、バンテリンドーム)
広島のドラフト2位・佐藤柳之介投手(22)=富士大=がプロ初登板初先発で6回を2安打無失点に抑え、初勝利を挙げた。持ち味である伸びのある直球と変化球を低めに集め、中日打線に的を絞らせなかった。チームは3年ぶりにバンテリンドームでの3連戦でカード勝ち越しに成功。鬼門突破に導いた若き左腕が、新井鯉の勢いを加速させる。
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しなやかさの中に秘めた強さ-。それが佐藤柳之介の真骨頂だ。父・友和さんは長男に「りゅうのすけ」と名付けると、早くから心に決めていた。母・百合子さんは妊娠8カ月まで「龍之介」という字にするつもりでいた。そんなある日、母方の祖母・信子さんが百合子さんにこう言った。
「柳という字も“りゅう”と読めるよ。柳の木はしなやかで、どんなに強い風が吹いても折れないんだよ」
その言葉に胸を打たれた友和さんと百合子さんは、名前の漢字を「柳之介」に変更することを決意。ただ強いだけでなく、しなやかに、しっかりと根を張って生きていってほしい-。そんな思いを一文字に込めた。
その願い通り、佐藤柳は折れない心としなやかな腕の振りで、プロ初勝利をマーク。ピンチでも動じず、まるで柳の枝のように自然体で打者に向き合う姿は、まさに名が体を表す瞬間だった。
佐藤家の実家近くの神社には偶然にも多くの柳の木が植えられており、そこを訪れるたびに、母は名の由来を思い出すという。これからも風に揺れながら折れずに立ち続ける“柳”のように、強くしなやかに左腕を振っていく。(デイリースポーツ・高橋涼太朗)





