広島・矢野自らが語る超人プレー“ベアハンドキャッチ” 予想に反する打球へ「勝負に出た」対応は驚き【5・30阪神戦】

 話題を呼んだ“あのプレー”を深掘りしていく随時掲載企画『カープ このワンプレー徹底解析』がスタート。第1回は5月30日の阪神戦(マツダ)で遊撃を守っていた矢野雅哉内野手(26)が見せた超人的なファインプレーを本人の言葉を交えながらひもといていく。

  ◇  ◇

 この1年で矢野の守備力は誰もが認知した。どんなに難しそうな打球が三遊間に飛んでも「矢野ならなんとかしてくれる」という期待感が球場を包み込む。今回深掘りするプレーは、その期待をも上回ってみせる異次元のプレーだった。

 場面は1-0の四回2死二、三塁のピンチ。マウンド上には森下が立ち、バッターボックスにはヘルナンデスを迎えた。二回の1打席目でヘルナンデスは直球を2球連続で見逃して最後は外角へ逃げていくカットボールで3球三振に倒れていた。その事実も頭に入れていた矢野は「1打席目の反応とかも見ていて、森下さんの真っすぐに絶対に詰まると思っていた。詰まるならセンター方向」と感じ取り、ポジショニングは通常ながらも意識を二塁ベース寄りに置いていた。

 「あまり引っ張り(警戒)に守っていなかった」という中で、実際の打球は詰まりながらも三遊間方向へ飛んだ。「やばい、間に合わん」。矢野はとっさにそう思いながら、意識を置いていた方向とは逆へ動き始めた。

 ふわっと上がった打球はハーフライナーのような形となり、グラブを伸ばした三塁手・佐々木の斜め上を通過。「打球を追いながら(佐々木が)捕ることも頭に入れて、カバーの準備していた」と考えながら走り込んだところにボールがバウンドしてきた。

 逆シングルでグラブを使って捕りに行ってもいいような局面だったが、「ヘルナンデスの足も考えて、グラブだったら間に合わん」と素手での捕球を選択。ボールを捕った瞬間はわしづかみに近い握りだったが、瞬時にボールを投げられる握りへと変えてリリースするという常人では成しえない芸当でアウトにして見せた。

 あの捕球体勢からノーバウンドで一塁へストライク送球にしたことにも仰天だが、ベアハンドキャッチ(素手捕球)の練習は「全くしていない」という点にも驚かされた。では、なぜあんなプレーができたのか?矢野は「練習ではできないプレー。勝負に出た結果」と言った。アドレナリンと「なんとかしなくては」という思い。それにプロの技も合わさって生まれた球際での“即興神プレー”だった。(デイリースポーツ・畠山賢大)

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