広島・遠藤「別人みたいです」 8年目の覚醒の秘密 2軍で150キロ超を連発 30センチの変化、藤井ヘッドの言葉が転機
広島・遠藤淳志投手(26)が猛アピールを続けている。ここまでウエスタンで主に中継ぎとして14試合に登板し、0勝1敗、防御率2・45をマーク(20日現在)。自己最速を更新する150キロ超えの直球を連発するなど、進化した姿を見せている。8年目の覚醒の秘密に迫った。
これまでにはなかった手応えがある。「去年と比べて真っすぐで勝負できていますし、空振りも奪えている。別人みたいです」。遠藤はここまでのシーズンをそう振り返った。
昨年も2軍では21試合に登板し、5勝2敗、防御率1・74をマーク。しかし、「感覚は悪いけど抑えられているみたいな感じだった」と自身の感覚と数字にギャップを感じていた。しかし、今季は数字はもちろん、投球内容も格段に良くなっているという。
一番の変化は平均球速の上昇だ。昨季までは130キロ後半~140キロ前半の球速帯だったが、4月19日・阪神戦(SGL)では、球場のスピードガンで自己最速を更新する151キロを計測。その他の登板でも、140キロ後半の直球を安定して投げられている。
これまではスピードよりキレを追い求めていた右腕。転機となったのは、藤井ヘッドコーチからの言葉だった。「沖縄でのキャンプが終わって2軍に落ちる時に『球速にもこだわってやってほしい』と言われて。正直、人生で一度も150キロを投げたことなかったので、どうしようかなとは思いました」。多少の戸惑いはあったが、改善の兆しは見えていたという。
オフに昨季のフォームから左足を約30センチ三塁側へ踏み出すように変更。「右打者に入っていくイメージ」とクロス気味にステップすることで、上半身と下半身の捻転差が生まれ、球に力強さが出始めていた。「去年はいろいろ試しすぎていた」と反省し、課題を絞って調整してきたことが功を奏し、現在は「ここに戻れば大丈夫というか、確認するポイントが少ない分、不調からも抜け出しやすい」と手応えをにじませる。
メンタル面でも変化があった。今季が8年目。「自分に対して過度に期待しなくなった」と話す。「だからもし打たれても『そら打たれるわ』と。その後すぐに『よし、次どう抑えようか』と切り替えできるようになった」。考え方を変えたことで生まれた余裕が好成績につながっている。
今後は先発でも調整していく予定。「どこでも投げられますというのをアピールして、いいものを継続していきたい。絶対チャンスは来ると思ってるので、そこでいかに自分の力を出し切れるか。しっかり準備したいです」と遠藤。3年目の20年に1軍で先発ローテ入りし5勝をマーク。22年も4勝を挙げるなど実績はある。1軍昇格も見据えながら理想の投球を確立していく。
◆遠藤淳志(えんどう・あつし)1999年4月8日生まれ、26歳。茨城県出身。186センチ、90キロ、右投げ右打ち、投手。霞ケ浦高から17年度のドラフト5位で広島に入団。2年目の19年8月21日のヤクルト戦(マツダ)でプロ初勝利をマーク。今季はここまで1軍登板なし。通算8年間で86試合に登板し、11勝19敗、1セーブ、6ホールド、防御率3.82。今季年俸は1900万円。