長嶋茂雄から感じた強烈なオーラ 真っ白の綿パン姿が忘れられない~個性派左腕白石静生が語る
広島、阪急在籍時に個性派左腕として活躍し、通算93勝を記録した白石静生さん(79)が17年間の現役生活を振り返り、強い巨人を牽引した「ON」との対決を懐かしがった。長嶋茂雄現巨人軍終身名誉監督にはカモにされたが、何よりミスターが放つオーラに圧倒されたという。
現役時代の白石さんは帽子から髪の毛がはみ出し、ちょっとアウトロー的なイメージだった。
「僕はね。みんなと一緒はイヤで、同じことをしたくなかったんですよ。入団して“髪を切れ”と言われたけどね。アイパーを当てたのもカープで初めて。チームがネクタイ着用でも、僕はジーンズの上下で遠征に出てましたから」
79歳になった今でも髪の毛は黒々、フサフサ。「白髪で長くしたいけど、白髪にならん」と苦笑するが、少年野球の指導者を務めているだけに、体格の衰えはあまり見られず元気いっぱいだ。
そんなオシャレな白石さんの目を奪ったのが球界の花形選手、長嶋さんのコスチュームだった。
「あれは神宮でのオールスターやったかなあ。長嶋さんが真っ白の綿パンで球場入りして来てねえ。うわーっ、やっぱり違うなあと思いましたよ」
ミスターが輝いて見えたという。
また長嶋茂雄という選手は打撃や守備だけでなく、走者としても輝いていた?
「おーいっ、白石っ!!」
一塁走者の長嶋が、リードしながらマウンドへ向かって、甲高い声で呼びかけてくる。セットの最中に大スターから突然、名指しされるのだから、ボールがこぼれ落ちそうになるほどビックリした。
肝心の直接対決は70打数31安打22打点、6本塁打、打率・443。一方的に打ち込まれた。
ただ、初対戦では得意の速球で見逃し三振に仕留めている。
「プロ入りしたころの僕は、真っ直ぐとカーブしかなかったからね。カーブも恥ずかしながらという感じで」
だが、その後はコテンパンにやられた。
「長嶋さんは僕が一番よく打たれた人で、ウイークポイントが、ありそうでなかった。晩年は1番を打ったりしてね。握ってるバットを(急にストンと)落とすんですよ」
カウントで追い込まれると、いっぱいに持っていたバットをスイング直前に、一瞬で短く持ち替える工夫をして、内角球をさばいていたという。
白石さんはほかに柴田勲、国松彰両選手にも「よく打たれた記憶がある」と話す。
ちなみに対柴田は67打数21安打15打点、6本塁打、打率・313。
対国松は11打数3安打、打率・273。
巨人の全盛期。白石さんが広島カープに在籍していた9年(1966~74)のうち8回も巨人が優勝しているのだから、打たれた記憶しか残っていないのかもしれない。(デイリースポーツ・宮田匡二)
◆白石 静生(しらいし・しずお)1944年5月22日生まれ、79歳。徳島県出身。投手。左投げ左打ち。鳴門から四国鉄道管理局(現JR四国)を経て65年度ドラフト2位で広島入団。1年目から先発、中継ぎで活躍。74年オフに大石弥太郎とともに渡辺弘基、宮本幸信、児玉好弘と2-3のトレードで阪急に移籍。主に先発投手として4連覇に貢献。82年限りで引退。プロ17年で通算93勝111敗2セーブ。防御率3・81。




