広島・島内 八回の男がまさか乱調2失点 痛恨連敗で自力V再び消滅 阪神と6・5差に
「広島東洋カープ3-5中日ドラゴンズ」(1日、マツダスタジアム)
広島は中日に競り負けて2連敗。首位・阪神に優勝マジック再点灯を許し、自力優勝の可能性が再消滅した。一時は3点差を追い付いたが、3-3の八回にセットアッパーの島内颯太郎投手がカリステに勝ち越しソロを浴びるなど2失点。自身50試合ぶりの被弾で、ベンチの期待に応えられなかった。阪神とは6・5ゲーム差となったが、下を向くことなく、勝負の9月戦線に立ち向かっていく。
スタンドから上がった悲鳴が、球場全体に広がる。島内はマウンドで、ぼうぜんと立ち尽くすしかなかった。鉄壁のセットアッパーがまさかの被弾。右腕は「一番ダメな甘いゾーンに行ってしまった」と勝負を分けた一球を悔やんだ。
同点の八回。1死から迎えたのは三回にソロを放っていたカリステ。2球チェンジアップを続けて3球目もチェンジアップを投げ込んだが、浮いてしまった一球を左翼席に運ばれた。その後2死一、二塁のピンチで木下に中前適時打を許して2点目を献上。ここで新井監督がベンチを立って交代を告げた。
本塁打の結果球に本人は「坂倉もボール要求のサインを出していたんですけど、僕が投げ切れなかった」と唇をかみながら敗戦の責任を背負い込んだ。
島内が本塁打を浴びるのは今季初登板となった4月1日・ヤクルト戦以来50試合ぶり。ここまでリーグトップの36ホールドポイントを挙げ、大車輪の活躍でブルペン陣を支えてきた。それだけに指揮官も「いつも抑えてくれているので、こういう日もあります」と決して責めることなく、右腕に寄り添った。
島内はこの日が21年の自己最多に並ぶ51試合目の登板。今季の新井カープを象徴する存在でもあり、何度もタフな場面を封じてチームを救ってきた。その貢献度は計り知れない。8月25日・ヤクルト戦から5試合連続で登板し、31日の巨人戦ではベンチ外。右腕は「本当にただただ、きょうは自分の今日は実力不足」と口元を結んで、必死に前を向いた。
一戦一戦の重みが増す9月の戦い。首位・阪神にマジック再点灯を許し、自力優勝の可能性も再び消滅したが、一戦必勝のスタンスは決して変わらない。「チームとしても1つの負けが大きく響く時期。ラストスパートとしてもうひと踏ん張りの時期だと思う。『次は抑える』と思ってマウンドに上がりたい」と島内。この日の敗戦を必ず糧にして、次の勝負でやり返す。