今年から指揮を執る広島・新井貴浩監督（４５）とカープＯＢ会名誉会長でデイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏（７８）が新春対談を行った。４年連続Ｂクラスからの再建を託された新指揮官は「日本一のチームになりたい」と力強く宣言。カープを愛する２人が熱く語り合った。

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　安仁屋「今季は坂倉が捕手一本で挑むことになったね」

　新井「そうですね。でも僕はアツ（会沢）にもすごく期待しています」

　安仁屋「今年で３５歳になるのかな。捕手はそのぐらいの年齢が脂が乗っていて、一番いいよ」

　新井「坂倉が捕手一本になることで、アツにもすごく刺激があると思います。本人も『やってやろう』という気持ちになっていると思いますし、（正捕手争いは）本当に分からないですね」

　安仁屋「戦力的にも、かみ合えば絶対に強いと思う。特に投手では楽しみな選手がすごく多くいる。ちょっと経験させたら一流になれるような若い選手がいっぱいいる」

　－引退後は数多くの試合を解説者として見てきた。監督として一番難しいのは、やはり継投になりそうか。

　新井「正解がないからね。ただ、九回は栗林がいる。栗林までの中継ぎを確立していかないといけない。ある意味、確立していない分、使う方からしたら思い切って起用できる。まずその場所で使ってあげないと成長しない。今までならビハインドの展開でしか投げていないような投手が、もしかしたら１点リードの六回、七回で起用するかもしれない」

　（続けて）

　「たとえ勝ちパターンで（起用して）逆転されて負けても、その投手がそこで経験したわけだから。次も（同じ場面で）いくかもしれない。育成するということは我慢だから。自分が、かつてそうしてもらったように。我慢して育成して使ってもらったように。チャンスは誰にでもあると考えている」

　－成功体験を与えてあげる。

　新井「ミスから学ぶことも大切だけど、成功した時に自信が付く。ミスから学んで糧にすることも大切。でも成功することによって少しずつ自信が付いて気が付いたら『八回を任されるようになっていた、七回を任されるようになっていた』というのが理想。ビハインド、勝ちパターン、同点とか関係なく、どんどん使っていきたい」

　安仁屋「投手って、ちょっとしたことで神経質になるかもしれないけど、どんどん色んな形で使って、自分の目で『コイツ、面白いな』と思ったら面白い場面で使ってみたらいい」

　－伸び悩んでいる中堅選手には、どんなアプローチを。

　新井「若手だから、とか中堅、ベテランだから、とか考えていない。年齢とかではなく、全ての年齢に期待しているね。『若いの出てこいよ！』という気持ちもあれば『中堅、まだまだこれからだろ？ベテラン、まだ若いだろ？』という気持ちもある。そこでやっぱり（１軍の）枠があるから競争。枠の中で収めるのはすごく難しいし、気持ち的にもしんどいと思う。でも『いいやつを使うぞ、年齢は関係ないぞ』と思っている」

　－監督として夢は。

　新井「やっぱり、日本一になりたい。（１６～１８年に）３連覇したけど日本一にはなっていないから。１９８４年以来、日本一になってない。みんなで日本一になって、みんなで喜びたい。カープが日本で一番強いチームになりたい。日本一のチームになりたい」

　安仁屋「リーグ優勝と日本一とは、また違った価値観があるからね。リーグ優勝して日本一になったら最高だね」

　新井「最高です」

　安仁屋「ファンも一丸となってね。ファンを大事にする監督だから、ファンとともに日本一を。何年かかってもいいから日本一になってほしい。その代わり、僕が生きている間にね（笑）」

　新井「いやいや、あと３０年、４０年とお願いします」

　安仁屋「それだけ期待しているよ、頑張って！」

　◆新井　貴浩（あらい・たかひろ）１９７７年１月３０日生まれ、４５歳。広島県出身。現役時代は右投げ右打ちの内野手。広島工から駒大を経て９８年度ドラフト６位で広島入団。２００８年にＦＡで阪神移籍後、１５年に広島復帰。１８年に現役引退。本塁打王１回（０５年）、打点王１回（１１年）、最優秀選手１回（１６年）、ゴールデングラブ賞１回（０８年）、ベストナイン２回（０５、１６年）。ＮＰＢ通算成績は２３８３試合で２２０３安打、３１９本塁打、１３０３打点。打率．２７８。０６年ＷＢＣ・０８年北京五輪日本代表。

　◆安仁屋　宗八（あにや・そうはち）１９４４年８月１７日生まれ。沖縄県出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。沖縄（現沖縄尚学）から琉球煙草を経て６４年に広島入団。７５年に阪神移籍。８０年に広島へ復帰し、８１年に引退。タイトルは最優秀防御率（７５年）。通算６５５試合１１９勝１２４敗２２セーブ、防御率３．０８。引退後は広島の１軍投手コーチ、２軍監督などを務めた。広島ＯＢ会の名誉会長でデイリースポーツ評論家。