広島・ドラ5河野 2度クビも貫いた“投手道” 広陵・中井監督の宣告、挫折乗り越えプロ入り

 広陵時代の挫折を乗り越えプロ入りを果たした河野=2019年センバツ大会
 広島・ドラ5河野
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 広島に育成選手を含め10人の新人選手が来季、加わる。支配下選手の連載、今回はドラフト5位・河野佳投手(21)=大阪ガス=だ。最速151キロの本格派右腕は、広陵時代に投手を断念しかけたことがあった。挫折を乗り越えつかんだプロ入りを振り返る。

  ◇  ◇

 野球人生の岐路を振り返ると、河野は広陵時代のある出来事を挙げた。投手断念か継続か-。乗り越えた2度の挫折が、目標としたプロ入りへとつながった。

 1年冬と2年春に中井哲之監督から“投手クビ宣告”を受けた。直球の力強さが武器だったが、制球を意識し過ぎるあまり、本来の投球が長く影を潜めていたからだ。球速は120キロ台まで落ちた。全国制覇を目指すチーム。競争は激しい。

 「後悔はしたくない。最後まで投手をやらせてください」

 2度目のクビ宣告を受けた後の4月。河野は監督室の扉をノックし、中井監督に涙ながらに直訴した。チームメートからは「お前はピッチャーだ」と背中を押されていた。情熱を込めた言葉が中井監督の胸に刺さった。

 短所を克服するよりも長所を伸ばすことに目を向けた。体を大きく使う意識でトレーニングをすると球速は徐々に回復し、制球も安定した。その年の秋季中国大会。背番号「1」を勝ち取った。

 エースとして上がった甲子園のマウンドで自信を深めた。19年、3年春のセンバツ大会1回戦。八戸学院光星で150キロの直球を武器に3安打8奪三振で完封勝利した。「あの試合も大きかった」。同学年の奥川(星稜・現ヤクルト)に勝るとも劣らない輝きだった。

 今月11日には広島市内であった中井監督の還暦祝いパーティーに出席した。中井監督からは「絶対この子はプロに行くと感じたのは有原と河野。有原か河野ぐらいしか、あんな球を投げたのは見たことがない」と最大級の賛辞を贈られた。温かい恩師の言葉に、活躍して恩返しすると強く誓った。

 「4番が新井さんで、黒田さんが投げて、リーグ優勝を目の前で見させていただいた。憧れもありますし、自分も中心選手になりたい」

 マツダスタジアム近くで育ち黒田、新井らの活躍に目を輝かせた少年時代。今度は自分が子どもたちに夢を与える番だ。

 ◆河野 佳(かわの・けい)2001年8月23日生まれ。21歳。兵庫県加古川市出身。175センチ、81キロ。右投げ右打ち。投手。神野小3年時に神野スターズでソフトボールを始め、大州中では広島南シニアに所属。広陵では3年春にセンバツ出場。大阪ガスでは入社1年目に都市対抗デビューし、21年の社会人日本選手権では2大会連続優勝に貢献しMVPに輝いた。

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