広島ドラ1・斉藤 習慣は第二の天性なり 母と紡いだプロの夢、高校3年間グラブ使い続け宝物

 広島に、育成選手を含めて10人の新人選手が加わることになった。支配下7選手の連載をお届けする。今回はドラフト1位・斉藤優汰投手(18)=苫小牧中央=で、これまでたどってきた足跡などを振り返る。

  ◇  ◇

 広島から1位指名を受けた直後、斉藤は母・明美さんに「育ててくれてありがとう」と花束を贈った。女手一つで育ててくれた最愛の母。恩返しを誓った瞬間でもあった。

 入学前に購入してもらったグラブを、3年間使い続けた。ひもが切れ、穴もあいた。明美さんは「『次は修理できない、買い替えた方がいい』と言われたんですが」と振り返ったほど。それでも、手入れをしながら大切に使った。一緒に夢をかなえた宝物だ。

 小学4年のときに野球を始めた。当初はサッカーをやりたかったが、夜勤など介護職で忙しい母を見て、難しいとわかっていた。その時、友だちが誘ってくれたのが野球。送迎も世話してもらったおかげで、打ち込むことができた。

 外野手を経て捕手に。投手を始めたのは、中学時代に合同チームで「投手がいなかったから」。それが分岐点になった。

 その後、「自立したい」と寮が併設されている苫小牧中央へ進学。入学後から最も苦しかったのが“食トレ”だ。朝2杯、夜3杯のご飯を平らげ夜食でも3杯を流し込んだ。入学時に70キロだった体重は91キロに。努力で、パワーピッチャーとしての体をつくりあげた。

 精神面での転機は2年夏の南北海道大会・北海戦だった。先発したものの2回途中4失点で降板。チームも敗れ、3年生にとって最後の夏が終わった。敗戦の責任を感じていた斉藤に、渡辺監督はあえて厳しい言葉を投げかけた。「勘違いをするな。自分一人で負けたんじゃない」-。本来は優しい性格。その上で強く、たくましくならないといけないと感じた瞬間だった。

 座右の銘は「習慣は第二の天性なり」。中学2年のときに漫画で知った。高校3年間、文武両道を自身に課し、どんなに練習が厳しくても毎日30分の勉強を欠かさなかった。成績は学年1位。得意科目は数学だ。

 「早く1軍で活躍ができるように、小さなことから一生懸命取り組んでいきたい」。力強い言葉が頼もしい。(市尻達拡)

 ◆斉藤 優汰(さいとう・ゆうた)2004年5月27日生まれ、18歳。北海道出身。189センチ、91キロ。右投げ左打ち。投手。苫小牧中央から22年度ドラフト1位で広島入団。苫小牧中央では甲子園出場経験なし。持ち球は150キロ超の直球とスライダー、カーブ、フォーク。奪三振率の高い本格派右腕。

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