“家族”になった秋山、広島の「忘れられない日」に移籍後初サヨナラ打 表現した新井氏も再び
143試合のペナントレースにおいて、デイリースポーツ記者の心に残った試合、場面を振り返るオフ企画『一投一打』。広島担当の達野淳司記者は、秋山翔吾外野手(34)が移籍後初のサヨナラ打を放った8月6日の阪神戦を挙げた。平和への願いを込めて開催された「ピースナイター」でチームの連敗を7で止めた男の熱い思いを振り返った。
地鳴りのような声援がマツダスタジアムに巻き起こった。
3点ビハインドを相手失策などで同点に追いつき、なおも1死二塁。マウンド上には相手守護神の岩崎。秋山は2球目のスライダーを右前にはじき返すサヨナラ適時打にした。
チームは7連敗中。苦しい中で放った移籍初の劇打。お立ち台でヒーローは熱く語った。
「広島の皆さんにとっては大切な日、忘れられない日だと思います。僕も外から来た人間ですけど、野球ができていること、応援してもらえることを心に秘めて皆さんと共にこの日を忘れずにやっていきたいと思います」
8月6日。77年前に広島に原爆を投下された日。ピースナイターと銘打ったゲームだった。
いろんな人の思いを背負って入った打席。希代のバットマンは冷静だった。岩崎とは1度だけ対戦があった。伸びのある直球に差し込まれた記憶。普通にいったら打てないと分析。通常よりも上からバットを出すことを心掛けた。
「初球の真っすぐは体感より速く見えた。彼の特有のフォームなのでタイミングを取るのがすごく難しかった。振れるところに来たら振ってみないと、と思っていた。甘いスライダーだったのでいい角度でバットが上から入った」
そこまで4打席はすべて外野フライに打ち取られていた。この打席を振り返り「いろんな方の思いが打たせてくれた」と話した。
テレビでは新井貴浩氏が解説をしていた。
「秋山選手は外から来た選手とおっしゃってましたが、カープというチームは外も中もないんですね。カープに入った瞬間から家族です」
このコメントはファンの思いを代弁したと絶賛された。そんな2人が来季から“家族”としてチーム再建に力を合わせることになった。