カープ新監督 新井貴浩という男「4番を代えてくれませんか」-内田順三氏の視点

 広島の新監督に新井貴浩氏が就任した。4年連続Bクラスのチームをどう再建していくのか。駒大の先輩にあたり、新井氏の現役時代に打撃コーチとして支えた名伯楽、デイリースポーツウェブ評論家・内田順三氏に話を聞いた。

  ◇  ◇

 責任感の強い男でね。現役時代の2003年、金本が阪神に移籍したシーズンでは4番を任されたんだけど、調子があがらず「今の自分じゃ務まらないので代えてくれませんか」と言ってきたことがあった。

 「内田さんも一緒に」ということで、山本浩二監督のところへ行ったんだけど、あの当時は戦力も乏しく、何とか4番を作らなければいけない、という時期だった。浩二さんは首を縦に振らず、「まだまだ頑張れ」と。自分が遅咲きの選手だったから「26歳なんてこれからだ」と背中を押していた。

 彼のプロ入り時を振り返れば、もともと、大きな期待があったわけではない。広島出身、駒大の関係者が多くいた縁もあってドラフト6位で広島に入った。体が大きく化けたら面白いという選手だった。その彼を一流選手にしたのは先に述べた通り、浩二さんが辛抱強く使ったからだろう。就任会見でも真っ先に名前を出していたから、本人もそういう思いがあるんだろうね。

 そして、入団当時、新井を作り上げた人物として、大下剛史ヘッドコーチの存在も大きかった。駒大の先輩後輩にあたり、スパルタ式の練習で徹底的に鍛え上げていた。優先的に試合に出ても、「あれだけ練習しているのなら、新井を使うのは仕方ない」と周囲に思わせるほどの練習量だった。兄貴分の金本にもいじられながら、引っ張られて名球会に入るほどの選手になったが、それほど化けたのは彼が素直な心を持っていたからというのも大きい。

 こうした現役時代の経験が、監督になった彼自身を支えていくだろう。ユーモアが好きなやつで、先輩や後輩からも慕われているが、おそらく、相当な覚悟を持って引き受けただろうし、厳しさも備えている。原点に帰って、質、量ともに濃い練習で選手を徹底的に鍛え上げていくんじゃないか。

 彼の解説を聞いていると、こんな野球観を持っていたんかいな、と感心することもあるけど、コーチ経験もないし、今はまだこんな野球をするなんていう段階ではないと思う。自分の先輩、駒大の先輩、いろいろなアンテナを持っているなかで、さまざまな声に耳を貸しながら一歩一歩前に進んでいってほしいね。

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