広島の新監督として新井貴浩氏（４５）＝デイリースポーツ評論家＝の就任会見が１２日、行われた。広島を愛し、広島に愛された新井氏の、新たな船出。これまで同氏に関わってきた球界ＯＢやデイリースポーツ記者らがその人となりを語り、熱いエールを送る。今回は山本浩二氏だ。

　　◇　　◇

　まあ、新井ほど練習して、泣いても笑ってもやらされて、やらされて、鍛えられた選手はほかにおらんよ。最初に見たのは、私の２回目の監督の、入団３年目のころだったかな。バッティングだけじゃない。守備もね。

　努力し続けることができるのが非凡だった。技術的にもバッティングはそうだし、阪神でだけど守備（一塁手）でもゴールデングラブまで取ってなあ。私からすると、えーっ、あの新井が、だよ。

　そりゃ誰もが練習はするし、すれば、とは言うけど、簡単にできない時間と量。あれほどバット振っても、ノック受けても、悲鳴上げながらでも、へこたれずに、壊れずにあれだけ他人の３倍バット振って、３倍ノックを受けて、音を上げずにやり遂げてなあ。

　あの精神力は大したもの。みんな記者の方も知っての通り、あの性格通りの男よ。誰もが好感を持つし、誰もが応援したくなる。それを十分に生かして、自分の思う通りに監督をやってほしいね。

　コーチ経験なしで即監督という点に関しては、これはもう何の心配もない。周りのブレーンと力を合わせていけばね。選手のときから本当に相手の気持ちが分かる男だから。もちろん、監督という仕事は楽じゃないよ。苦しさはいつもある。でも新井なら歯を食いしばって頑張れる。

　２カ月ぐらい前かな。ゴルフをして。その時は当然、野球の話はしなかったけど、期待度は上がるね。本人もその気でしょう。カープの伝統を引き継いで、足を使うカープの野球を復活させるやろ。（８９～９３年、０１～０５年広島監督・山本浩二）