広島のチーム盗塁数26は異常 球団ワーストに「チャレンジしなくなった」と北別府氏

 広島のチーム盗塁数が1年で激減した。26個は12球団最少で、過去の44盗塁(1952、66年)を大幅に下回る球団ワースト記録。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「トライして失敗するうちにチャレンジしなくなった」と分析。カープの“お家芸”である機動力はどうなった?

  ◇  ◇

 シーズンが終了し、今年のカープは5位。開幕からしばらくは上位を賑わしたけど、1年を通して厳しい戦いになったね。

 原因を探せば投打にわたっていろいろとあるんだろうが、チームの成績で最も目についたのは盗塁数。26個だからね。これは少なすぎる。

 昨年はDeNAがわずか27個で驚いたけど、それを下回ったんだからね。“足”を使って掻き回すのはカープの十八番だっただけに、寂しいですよ。

 (広島の盗塁数は3連覇した2016年から118、112、95で、いずれもリーグ1位だったが、19年からは81、64、68と漸減。チーム成績を反映しているが、今年の26個は異常なほど少ない)

 盗塁への意識がないわけではないと思う。ただ、トライはするけど、失敗していくうちにチャレンジしなくなったよね。アウトになる怖さが勝ってしまって、思い切りがなくなった。萎縮してか、そのうち仕掛けなくなっていったね。

 それとスタート自体が悪い。モーションを盗むには、それ相応の研究や技術がいるものだが、そこまで至っていないということでしょう。

 しかし、昨年の半分以下なのだから、これは考えもの。「走るぞ」と指導者が強くリードしていかないと、なかなか難しい。目の前でアウトになると選手は怖じ気づくものだからね。

 野間が7個でチーム最多。彼はもっと走れる選手なのに走れていない。今年は規定打席不足ながら3割を打ったし、よく頑張っているが、もっと走って相手を引っ掻き回してもらいたかったね。

 見方を変えれば、選手の潜在能力を活かしきれなかったと言ってもいいのかな。今年のチーム成績にそれが表れている。

 小園も若いのに2個は明らかに少ない。それと彼にはもっと細かい野球を求めたい。走ることもそうだが、打席での粘りがほしい。決め打ちをしてボール球に手を出すことが多く、初球打ちでのアウトも目立った。本来なら上位を打ってもらいたい選手だろうからね。

 今年のチーム打率は・257でリーグ1位。同時に併殺打の数もリーグで1番多い112個。そしてリーグ最少の盗塁数。今年はどこか緻密さに欠ける大味な攻撃をしている印象を受けた。

 前半戦はつながりのある打線が機能して勝てたが、つながりを失うと失速。試合終盤に引っ繰り返されたりして、接戦も落とすようになった。逆転負けは投手陣だけの問題でもないと思うね。

 足を絡めて“ノーヒットでも1点を奪う”という野球ができていれば、もっと違った展開になっていたかもしれない。

 2死からでも走力を効果的に使って決勝点をもぎ取る。来年はそういうカープらしい野球が見たいね。

 最終試合で佐々岡監督の辞任が発表になった。投手出身の監督ということで大変期待していたんだけどね。いい選手を育てながら、戦力として十分に活かしきれなかったというところだろうか。

 ユニホームを脱いだあとは、この3年間で育てた選手たちがさらに成長し、活躍する姿を見て楽しんで下さい。本当にお疲れ様でした。

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