堂林千金打 カープ逆転CSへ0・5差 8打席連続三振のトンネル抜けて大仕事

6回、2点適時打を放つ堂林(撮影・高石航平)
6回、2点適時打を放った堂林は塁上でほっとした表情
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 「DeNA3-10広島」(17日、横浜スタジアム)

 広島の堂林翔太内野手(31)が代打で登場し、2連勝に貢献する一打を決めた。六回、1点を勝ち越しなおも2死満塁から左前2点適時打を放った。この日の打席まで8打席連続三振を喫していたが、初球を鋭く振り抜き貴重な追加点。今季最後のDeNA戦も白星で飾り、3位・阪神とのゲーム差を0・5とした。

 極限まで高めた集中力を一振りに込めた。入江が投じた初球、代打・堂林はわずかに甘くなった直球を迷わず振り抜いた。打球は三遊間を破り左前へ。リードを3点に広げる貴重な2点適時打だ。

 「ヒットしかない場面。とにかく積極的に行きました。もう甘いところは全部振っていこうと」

 六回だ。1点を勝ち越し、なおも2死満塁で声がかかった。前打者の磯村は死球で出塁していた。「なかなか内角は考えにくい。割り切りやすい場面でもありました」。投手心理を読み切り、持ち味の攻撃的なスイングで仕留めてみせた。

 「ここ最近の僕の状態からしたら、ああいう場面で使ってもらえると思っていなかった。何としてでも結果で応えたいと。その一心でした」

 10日・ヤクルト戦の最終打席で空振り三振を喫して以降、試合前まで8打席連続三振を喫していた。9打席となれば2006年の鉄平(楽天)、今年の鵜飼(中日)が持つ野手のNPB記録に並んでしまうところだった。

 「決して僕の中では後ろ向きではなかった。周りの方たちからも『出ているからこそこういうことが起きる』と前向きなことを言ってもらえた」

 チームメートにも支えられ、前だけを見据え続けた。それでもようやく出た結果に安どの色がにじむ。一塁塁上では、拳を握り感情を爆発させた。

 代打出場は今季33度目。代打成績は30打数9安打で打率・300、8打点となった。佐々岡監督は、好機での堂林の起用について「当然」ときっぱり。信頼を言葉に変えると「本人が一番、ホッとしているでしょう。いいタイムリーだった」と目尻を下げた。

 チームは2試合連続2桁安打となる16安打を放ち10得点。序盤に先制されても粘り強く戦い、逆転勝利も2試合連続だ。逆境をはねのけるチームの強さを示したと言っていい。

 3位・阪神とのゲーム差はわずか0・5。自力でのCS出場の可能性が消えているが、残り6試合に望みをつなげた。「本当に負けられない試合ばかり。目の前の1試合を勝つだけ」。堂林はチームの思いをシンプルな言葉で代弁した。

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