広島の栗林良吏投手（２５）が１３日、新たにツーシームを習得する可能性を示唆した。シーズンの疲労を考慮され、第１クールを免除されていた右腕は、この日第２クール初日を迎えたマツダスタジアムでの秋季練習に合流。１５０キロ超の直球にフォーク、カットボール、カーブを交えて圧巻の成績を残した今季からレベルアップを図り、２年目の来季へ準備を整えていく。

　寒空の下、栗林はリラックスした表情を浮かべて秋季練習の輪に加わった。神経を研ぎ澄ませ、しびれる場面で戦い抜いた今季。キャッチボール後は、森下と一緒にゆっくりと外野間をジョギングした。「いい時間をもらえたなと。本当にリフレッシュもできた。来シーズンに向け、もう一回強化したい」と来季を見据えた。

　新人最多タイの３７セーブをあげ、防御率０・８６で１年目を完走。驚異的な成績を残した一方で「球種を増やしたい思いもある」と新たな取り組みに言及した。「ツーシームとかを、覚えられたら楽かなと思うけど『楽だから』というのも良くない」と新球習得の可能性を示唆。だが安易に先走ることはしない。自身の足元を見つめた上で、トライするかを決めていく。

　周囲の意見にも耳を傾ける考えで「自分に足りないモノ、球種があったらいい。捕手の意見を聞いて『今の球種だけでいい』と言われたらそれでいい。投手目線より、打者目線の意見を聞きたい」。今季は直球、フォーク、カーブ、カットボールを操った。新たな武器を増やすか否か、第三者の視点もヒントにして慎重に見定める。

　５３試合に登板した今季の疲労回復や体のケアを目的に、第１クールは免除。その期間は県外施設で過ごし「１年間の疲れも、体の中の欠点も分かった。『ケガしない体作り』をオフシーズンに生かしていけたら」。体の中でどこが硬いかを把握し、柔軟性を上げる。“己を知る”作業は有意義な時間となった。

　今秋は筋力強化ではなく、体のメンテナンスに軸足を置く。７月の球宴で、体を休ませることが次のシーズンへ好影響をもたらす、と中日・又吉から助言を受けた。年内はブルペン投球を行わず、体調を整えることを最優先に練習を重ねる。

　大車輪の活躍でチームを支えた右腕の存在は来季も欠かせない。「任されたところで１年間戦うことが大事。自分で役職を決めず、チームが必要なところで必要な仕事ができるように」。初のオフ。進化を目指しつつも、勝利の一端を担う気持ちだけは変わらない。