カープ大瀬良 完封締めで10勝&規定投球回到達 「チームのため、ファンのため」

 「広島7-0DeNA」(28日、マツダスタジアム)

 広島の大瀬良大地投手(30)が今季初、2年ぶりの完封で10勝目を挙げた。9回を6安打無失点で、2019年以来の2桁勝利&規定投球回到達を達成した。2桁勝利は自身5度目となり、広島の大卒投手では黒田博樹(8度)に続いて2人目の記録。エースが笑顔で今季を締めくくった。

 グラブを外した大瀬良は、ゆっくり息を吐いた。九回2死一塁で代打・神里を見逃し三振に斬ると、駆け寄った会沢に一礼。「完封できるとは思っていなかったけど、良かった」。順位が確定しても拍手をくれるファンと、援護してくれる仲間がいる。9回6安打無失点。完封は今季初で19年8月2日・阪神戦(マツダ)以来2年ぶり。肌寒い本拠地でエースが意地を示した。

 初回先頭の桑原に初球を捉えられ、右中間二塁打。しかし1死一、三塁で4番・牧を遊ゴロ併殺に打ち取り、立ち上がりを無失点で切り抜けた。四回は無死一、二塁で楠本に左前打。ここで本塁を狙った二走・佐野を左翼・西川が正確な送球でアウトにし、後続も寸断した。「全体的に、平均的だった」と振り返ったように好調でも不調でもなかった。

 それでも直球とカットボール、スライダーにカーブと自らの“引き出し”を駆使。「決していい球があったわけでも、悪い球があったわけでもない。色んな球を、うまく使えた」。3回2/3でKOされた前回21日・ヤクルト戦から修正し、黒田博樹に続く球団の大卒投手では2人目となる5度目の2桁星。佐々岡監督も「最後に意地を見せてくれた」と褒めたたえた。

 開幕投手を務めた今季は4月中旬に右ふくらはぎを痛めて約1カ月、戦線離脱。前半戦は7試合続けて勝ちがない時期も経験した。「離脱した時点で諦めていたけど、後半は大きなケガもなくローテーションを守ることができた。たくさんの人に支えてもらった」。127球は、周囲への恩返しでもある。

 2桁勝利と規定投球回は「最低限」と胸は張らない。ある時、コロナが収束したら実現したいことを語った。「超満員の球場のマウンドに立ちたい。大歓声の中、心臓バクバクで投げる。あの緊張感をもう一回味わいたい」。ファンとチームのために腕を振る。「チームのため、ファンのため。その思いが一番僕を動かしてくれる。いい形で終えることができて良かった」。背番号14は自身の信条を貫き、寒空の本拠地に笑顔の花を咲かせた。

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