広島・鈴木誠也 連発9月13本塁打は自己最多 6連勝導く驚弾「たまたまです」

 「阪神4-5広島」(30日、甲子園球場)

 どうだ、見たか-。広島・鈴木誠也外野手(27)が2打席連続本塁打を放ち、今季初の6連勝を導いた。2点を追う二回に自己最多となる31号ソロを放つと、四回には一時逆転の32号2ラン。月間13本塁打は9年目で自己最多。残り21試合。ひとつでも上の順位を目指して、全力で戦う。

 豪快に振り上げた。見る者を魅了する強打者にふさわしい打球音と弾道。スタンドの観衆から驚嘆の声が漏れるほどの迫力があった。鈴木誠は本塁打を確信すると、悠然と一塁へ駆け出した。自己最多を更新する一時逆転の32号2ラン。バットで今季初の6連勝を導いた。

 1-2の四回。1死二塁で西勇のフォークを見事に捉えた。高く舞い上がった打球は失速することなく、バックスクリーンへ着弾。32号2ランに「たまたまです」と淡々と振り返ったが、球場全体を一振りで席巻した。

 この日は第1打席で“自分越え”を達成していた。0-2の二回、先頭で左翼スタンドに31号ソロ。外角カーブにバットを出し、最後は左手一本でアーチをかけた。「取られた後に、まず1点返すことができて良かった」と反撃の一打を振り返る。28日の同戦で30号を放ち、18年に記録した自己最多に並んでいた。今季6度目の1試合2発で、キャリアハイを更新した。

 プロの世界で屈指のスラッガーに成長した今も、少年時代の頃を忘れない。数年前、所属していた荒川リトルシニアの卒団式があった。同チームの事務局長に連絡していた際、卒団生へのメッセージを依頼された。「おめでとうございます。自分の頃を思い出します」と伝えると、後輩たちは喜んでいたという。プロ野球選手になることを思い描く子どもたちへの心遣いは決して忘れない。そしていつまでも、少年たちの憧れであり続けるためにアーチを描いていく。

 7月以来、今季2度目の月間勝ち越しを決めた佐々岡監督は2本目の一発に「打ち損じかなと思ったら、よく伸びた」と目を丸くしながら4番の活躍をたたえた。32本塁打はヤクルト・山田に並ぶリーグ3位タイ。打率も・319に上げ、首位打者をキープした。まだ見ぬ世界に足を踏み入れた背番号1。勝利だけを求めて、チームをさらに加速させる。

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