広島・ドラ1栗林、開幕10戦連続0封! 新人記録あと3「超えたい気持ちある」
「広島1-1ヤクルト」(21日、マツダスタジアム)
骨太ルーキーが仁王立ちだ。広島ドラフト1位の栗林良吏投手(24)=トヨタ自動車=が同点の九回に登板し、1回を三者凡退に抑えた。これで開幕から10試合連続無失点で防御率0・00。点を取られる気配はない。今季2度目のドローに終わったが、今後も無失点街道を歩み続ける。
球場全体を包み込む拍手を聞きながら、栗林はマウンド上で右拳を強く握った。重圧のかかる場面でも平然とスコアボードに0を刻み、自軍に流れを呼び込む。その姿が頼もしく心強い。「負けたくないという思いでマウンドに上がりました」。引き分けに終わったもどかしさが漂う中、開幕から10試合連続無失点で本拠地のファンに光を届けた。
出番は1-1の九回だ。ヤクルト戦は今季初登板。先頭の青木は六回に適時打を放っていた。2球で追い込み4球目、ワンバウンドのフォークを振らせて空振り三振。「三振がベストな中、本塁打だけはダメという状態。本塁打をケアしながらのピッチングはできた」と汗を拭った。
続く塩見は直球で遊ゴロ。代打・川端の3球目には150キロ直球でカウントを稼ぎ、最後は直球でバットに空を切らせた。計11球で危なげなく三者凡退に片付け、開幕から10試合連続無失点とした。
ドラフト制後、新人投手のデビューからの無失点記録は2019年にソフトバンク・甲斐野が記録した13試合が最長。栗林はその数字に迫る奮闘を見せている。
「自分がそこを超えたいという気持ちはもちろんあります」と投手としての本能をのぞかせつつも、チームの勝利を最優先する姿勢を貫く。「チームが勝てることが一番大事。2点差なら1点OKということをしっかり考えて、無失点記録があるという気持ちではなく、勝てるピッチングができたらいい」。マウンドでの状況を冷静に把握し、ベンチの期待に応えていく。
新人ながらリーグトップタイの6セーブ。かつてリリーフでチームを支えた永川、横山の両投手コーチから助言を受け、トレーナーには体のケアを施してもらい、日々の登板に備えている。
安定感の要因には「たくさんの人に支えられているおかげで、今こうやって結果が出ていると思います」と周囲への感謝を口にした。つながれたバトンは落とさない。新米クローザーに絶対的という言葉が似合ってきた。
◆新人デビューから連続試合無失点記録 広島・栗林がデビューから10試合連続無失点。1966年のドラフト制後では2019年・甲斐野(ソフトバンク)の13試合が最長。17年・森原康平&菅原秀(ともに楽天)ら5人の10試合がある。