広島・森下 セ一番乗り完封 志願九回に最速152キロ「終わり方が大事なので」

 「ヤクルト0-2広島」(6日、神宮球場)

 広島は接戦を制し、2位に浮上した。立役者は森下暢仁投手(23)だ。燕打線を6安打に抑え、今季セ・リーグ一番乗りとなる完封勝利。自身としても昨年8月14日・阪神戦(京セラ)以来2度目の完封で、今季2勝目を手にした。圧巻の投球を披露した昨季の新人王。これからも先発陣の軸としてチームを勝利へ導いていく。

 勝利への執念を燃やし続けた。1-0の六回2死二、三塁。森下は村上との勝負に臨んだ。味方が先制してくれた直後だけに点は与えたくない。この一打逆転の緊張した場面で、カウント2-2から真ん中高めに144キロ直球を投げ込み、空振り三振。主砲を沈めると、思い切り雄叫びを上げた。6安打2四球。「とにかく勝てて良かった」。昨年8月14日以来2度目の完封勝利で、文句なしの今季2勝目だ。

 立ち上がりは制球に苦しんだ。直球は高めに浮き、変化球はボール球が目立った。「点を取ってくれるまでは我慢して、一つ一つアウトを取っていければいい」。好不調に左右されず、本塁は踏ませない。初回は2死一、二塁から塩見を空振り三振。二回は1死一塁で西浦を二ゴロ併殺に料理した。

 球数が八回で105球に達した中、志願して九回も続投。1死三塁で塩見をこの日最速152キロ直球で見逃し三振。代打・元山も二ゴロに斬った。「(失点すると)あしたにつながってしまう。終わり方が大事なので」とカード初戦を託された自覚を胸に、投げ抜いた。

 八回での交代も考えていた佐々岡監督は「(森下が)『行かせてくれ』と。本当に行きたいという目をしていた」と舞台裏を明かし、「粘り強く投げてくれた。最高の勝ち方だった」と褒め上げた。

 粘り強く投げた末に、女神がほほ笑む。その原点は明大時代にある。3年生までは接戦をひっくり返されることが多かった。当時の監督・善波達也氏は「技術、能力の部分できれいに抑えようという空気があった」と振り返る。だが主将になった4年生から一変し「『俺のかっこよさより、チームの勝ちが大事』という感じが、最終年に出た」と確かな成長を実感したという。

 勝ちへの貪欲な姿勢がナインを鼓舞する。今季登板した2試合、最初の援護点はいずれも六回。懸命に腕を振るからこそ、難局を打開しようと攻撃陣が奮起する。チーム一丸での勝利の中心に、森下がいる。チームの貯金は再び3で2位浮上。「一つでも多く勝ちたいという気持ちで臨んでいる」。簡単には倒れない。「18」の背中が、また大きく映った。

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