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広島・上本 男泣きのプロ初サヨナラ打 チームも今季初のサヨナラ勝ち

 佐々岡監督(左)に祝福される上本(撮影・立川洋一郎)
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 「広島4-3阪神」(28日、マツダスタジアム)

 熱戦に終止符を打ったのは、意外な男だった。3-3の九回1死一、二塁で、広島の上本崇司内野手(30)が前進守備のセンターの頭上を越す、プロ入り初のサヨナラ打。チームメートにもみくちゃにされると、いつも明るいムードメーカーの目から涙がこぼれた。チームにとっても今季初のサヨナラ勝利。首位巨人の背中は遠いが、この劇勝から勢いに乗る。

 打球の着地点を確信すると、上本は一塁ベースを回ったところで右手を大きく突き上げた。ベンチを飛び出した仲間から浴びる祝福のシャワーと鯉党の歓声が、心に染み渡った。悔しさと意地をぶつけた一打は、プロ初のサヨナラ打。「とにかく抜けてくれという思いだった。もう気持ちだけです」。涙を拭ったヒーローがチームを救った。

 3-3と同点の九回裏、1死一、二塁の好機で打席を迎えた。「思い切り行け、と言われていた。ここで打たないと、取り返せないと思った」。犯したミスを挽回する思いに満ちていたが「冷静に」と頭はクールだった。

 カウント1-1から岩崎の3球目、チェンジアップに食らいついた。白球が中堅・近本の頭上を越えると、球場は熱気に包まれた。プロ8年目、通算16本目の安打は劇的な一本だ。「最高です」。お立ち台で勝利の美酒に酔った上本。ただでは終われなかった一戦。伏線は九回表にあった。

 1点リードの九回、1死一、三塁で梅野の打球は二塁へ。横っ跳びで捕球した菊池涼からの送球を受け取ると、体勢を崩しながら併殺を狙って一塁へ送球したが、大きくそれた。併殺で試合を締め、明大の後輩・森下に白星を届けたいという懸命のプレーだったが「体勢がバラバラで抜けてしまった」。25日のDeNA戦(横浜)では同点の九回にバント失敗で併殺に倒れ、直後にチームはサヨナラ負け。ふがいなさに心が支配されていた。

 それでも心は折れない。昨季31試合の出場は、代走や守備がほとんど。だからこそ今季開幕前には「反骨心」を胸に刻んで、汗を流してきた。打撃練習でも、ボールの内側からバットを振り込む意識を徹底。「これまで頑張ってきて良かった」。気持ちの強さで、努力を実らせた。

 殊勲の一打に、佐々岡監督は「スタメンで結果が出ない中、イジられながらもやっていて。だから、あの涙なんだと(思う)」と勝利の立役者の心中を察した。泥臭く、ひたむきにチームに貢献する姿勢が胸を打つ。「切り替えが下手くそ。周りの人に支えられている」と背番号0。謙遜した上本がチームを支えた夜になった。

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