西川 今季初打席で大仕事 代打2点タイムリーで連敗脱出
「ヤクルト4-7広島」(23日、神宮球場)
広島・西川龍馬内野手(22)が今季初打席で決勝の2点二塁打を放った。4-4の八回、1死満塁の好機に、代打で右中間を破った。前日22日に1軍昇格を果たしたばかりの若武者が勝負を決め、チームの連敗を4で止めた。
今季初打席ファーストスイングで決めた。八回一死満塁、代打・西川の打球が右中間を真っ二つに割った。三走に続いて、二走もホームを駆け抜ける。決勝の勝ち越し2点二塁打。ヒーローは二塁ベース上で両拳をグッと握り、ベンチへ右腕を突き上げた。
「昨日1軍登録されたんですけど、連敗が続いていたので何とか流れを止めたいと思って打席に入りました。ストライクが来たら積極的に振りにいこうと思っていたので、打てて良かったです!」
試合後のヒーローインタビューでは照れ笑いしつつ、大きな声を張り上げた。チームの連敗は4でストップ。真っ赤に染まり揺れていた三塁側席、左翼席はお祭り騒ぎだ。
4-4で迎えた八回に劇的ドラマが待っていた。先頭の鈴木が敵失で出塁し、続く松山が中前打。安部のバントが犠打野選となり、無死満塁の絶好機が訪れた。1死後、代打・西川が打席へ。「メッチャ緊張していた」と言うが頭は冷静だった。2球目フォークをバットの芯で捉えた。
ようやく1軍の舞台に戻ってきた。ヤクルトとのオープン戦(3月11日・福山)で自打球を右膝に当て、大きく出遅れた。WBCに出場した田中、菊池が不在の中、「いいアピールの時期になる」と意気込んでいたが、オープン戦はわずか5試合の出場に終わった。
前日22日に1軍昇格したばかり。それまでチームの試合からは目を背けていたという。「その場に自分がいないので。焦ったり悔しい思いをするので…あまり(テレビは)見ないで結果だけチェックしていました」。これまでのうっぷんを晴らすように、一振りに思いを乗せた。
「西川はあそこでいい仕事をしてくれた。昨年から打席の中で物おじしない。普通は緊張して力が入る場面でも、自分のスイングができる」
連敗を4で止める期待通りの働きに、緒方監督もニンマリだ。重苦しい空気を背番号63が振り払った。走攻守、センスにあふれる頼もしいピースが、首位を走るチームに加わった。