黒田「本当に最高の引き際」 世界一のカープファンの前で15度舞った

 引退セレモニー後、マウンドの手前で膝をつき号泣する黒田(撮影・吉澤敬太)
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 広島の街が真っ赤に染まった。5日、25年ぶりのリーグ優勝を記念したパレードに、31万3000人のファンが沿道に集結。今季限りで現役を引退した黒田博樹投手(41)の最後のユニホーム姿に「ありがとう」と多くのファンが涙した。レジェンドは優勝報告会のセレモニー後、マウンドの前でひざまずき、涙、涙。真っ赤に染まった球場も涙に暮れた。

 泣き崩れた。20年間、耐えて、闘い、立ち続けたマウンド。セレモニー終了後に、土の前で右膝をつくと30秒、頭を下げてむせび泣いた。立ち上がることのできぬ姿に、真っ赤に染まった球場から、鳴りやまない万雷のコール。黒田の勇姿に広島の街が涙に暮れた。

 「いろんな苦しい思いをしたのでね。あの場所に立って、スタンドを見るのも最後かな、と思うと」。1分間の沈黙の後、涙で声にならない声を絞り出し、野球人生を巡らせた。浮かぶのは苦しかった、悔しかった日々の記憶。それでも「マウンドに上がるしかなかったから」と紡いだ。

 「最後の最後まで、野球の神様がいると思って続けてきた。感謝と、20年のお礼です」

 「想像以上だった」パレードの歓声。故人の遺影を掲げ、涙する人の姿があった。あの人に見せたかった、見せられなかった思いがある。「ありがとう」-の声が飛ぶ。「笑顔と涙と、いろんなものを見せてもらってね。僕自身が感動させてもらいました」。待ってくれている人がいると、1球の重みを感じられると、復帰を決めた。決断は間違ってはいなかった。

 10年前。市民球場のマウンドに立つと、空席の目立つ客席が見えた。「ファウルボールがスタンドに入っても、誰にも当たらずイスに当たっていた」。新井と2人、口を開けば勝つための方法を探した。2年前に復帰。衰えが見え始めた体で闘った。全盛期は150キロ超の直球とフォークが主体。スタイルの変化に「当然葛藤はあった」という。だが投手である前に、プロとして生きざまを探した。

 「このメンバーで野球ができなくなるさみしさと、もうマウンドからの景色を見ることができないさみしさがある。広島で最後を迎えられて、僕にとっては最高の引き際の場所。全てよかったと思う」

 初めてリーグ優勝を経験した。スタンドを見渡せば客席は、真っ赤に染まっていた。「こうやって1日ね、パレードもさせてもらって。こういう形で仲間に見送ってもらって、出来過ぎの野球人生だったと」。最高のフィナーレに感謝の言葉が続いた。カープは地方球団ではなく「地域球団」と呼ぶ。常にファンと共に戦ってきた。

 新井の「いくぞ」-の掛け声で、背番号と同じ15回宙に舞った。球場の上空は、雲一つない青空が広がった。「最後に世界一のカープファンの前で、ユニホームを脱ぐことができる。本当に最高の引き際」。“最後の1球”は「もう肩が痛くても関係ない」と、スタンドにサインボールを投げ込んだ。まぶしい栄光の記録と、記憶。涙と感動を残して、20年の歴史に幕を閉じた。

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