またまた鈴木誠也!奇跡の3戦連続V弾

 「交流戦、広島5-4オリックス」(19日、マツダスタジアム)

 「神ってる」広島が交流戦6連勝締めだ。4-4の同点で迎えた八回、鈴木誠也外野手(21)の左越え10号ソロが決勝弾。球団では1996年の江藤以来20年ぶりの3戦連続決勝弾だ。リーグ40勝一番乗りも同年以来20年ぶり快挙。交流戦は11勝6敗1分けで、7年ぶり勝ち越しで終了。貯金11で24日からのリーグ戦再開に備える。

 びしょぬれの殊勲者は試合後、ミラールームで素振りに没頭した。「信じられない」-と叫びながら、両手に残る感触を体に刻む。3試合連続の決勝弾。熱気を残したヒーローは「たまたまです」と笑った。まだ21歳。また、また鈴木が決めた。

 “3本目”が一番飛んだ。同点の八回。「何か」を期待する大観衆に押され、ゆっくり鈴木が打席に入る。左腕・山崎福に追い込まれてから4球目。高めに浮いたチェンジアップを狙った。高々と舞った打球は、左翼3階コンコースに飛び込む推定135メートルの特大弾だ。

 「下水流さんにはずっとかわいがってもらっていた。同点にしてもらったので、無駄にしたくなかったです」

 2点差の六回に代打の下水流が同点2ラン。7歳の差はあるが、2013年入団の2人。同期愛が生んだ一発でもある。17日の同戦では延長十二回にサヨナラ2ラン。翌18日には2点差の九回、逆転サヨナラ3ランで試合を決めた。決めゼリフとなった「最高でーす!!」を、この日は3度叫んで余韻に浸った。

 投手との18・44メートルの距離を、鈴木は「ケンカ」と表現する。目指すは10割打者。東出打撃コーチは「あいつにレギュラーを求めているわけじゃない。日本一の打者になってほしいんだ」と願う。球場への行き帰りもバット1本携える。“球道者”として鈴木はグラウンドで「完璧」を求める。

 「僕は10割を目指したい。だから悔しい思いしかないです。グラウンドでニコニコなんてできない。(凡打で)怒っているんじゃなくて、悔しんでるんです。投手との対戦はケンカ。負けたくない」

 3試合連続の決勝弾は、球団では1996年の江藤智(現巨人打撃コーチ)以来、20年ぶり。17日の2試合連続サヨナラ本塁打が、球団では84年の長嶋清幸以来、32年ぶりで、21歳のホープが連日の快挙達成となった。

 交流戦は11勝6敗1分けで球団史上最高の勝率・647。7年ぶりの勝ち越しに成功した。今季最長6連勝で貯金11。折り返し直前の71試合を消化し、2位・巨人に6差をつけて首位を守る。18日に「神ってる」と、表現した緒方監督は「昨日、一昨日とチームに流れを持ってきてくれた誠也が、今日もでっかい仕事をしてくれた」と最敬礼。鈴木が今季本塁打を放った9試合は全て白星だ。

 漫画「巨人の星」のように、父・宗人さんと2人で歩んだ野球人生。前夜も電話で祝福され「打ちたいな」と、思っていた父の日に最高のプレゼントだ。「たまたまです。まだ6月。これからが本当の勝負です」と鈴木。笑みはない。25年ぶりの頂点へ全力で駆ける。秋の美酒にぬれながら「最高でーす!!」と叫ぶために。

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