野村が初完封!プロ5年目で壁破った

 「ヤクルト0-8広島」(27日、神宮球場)

 新風を吹き込んだ。広島・野村祐輔投手(26)が、5安打無失点でプロ初完封。多彩な変化球に要所で直球を効果的に使い3勝目をマーク。新井貴浩内野手(39)の2000安打達成に沸く余勢を駆って、5年目右腕がカベを打ち破った。2連勝で貯金3。この勢いで今季初のカード3タテを狙う。

 神宮のマウンドは、野村のものだった。最高の笑顔で、ナインと勝利のタッチを交わす。「最後までしっかり投げられて良かった」。堂林から特別なウイニングボールをもらい、再び白い歯がこぼれる。129球の粘投劇。5安打無失点でプロ初完封をマークし、新境地を切り開いた。

 低めを丁寧に突き、ゴロを打たせた。五回までに8点の大量援護。完封目前の九回は、1死から四球をきっかけに得点圏に走者を進めた。「完封は意識しなかったけど、投げ切らないといけないと思った」。最後は雄平を遊ゴロ。自らを奮い立たせ、スコアボードに9個目の「0」を刻んだ。

 得点直後に失点し、流れを確実なものにすることができなかった19日・DeNA戦の教訓を生かした。5点を奪い、7-0となった四回1死一、二塁では、バレンティンを遊ゴロ併殺打に打ち取り、ピンチを切り抜けた。

 「難しいところに飛んだ打球を、二遊間がしっかりと守ってくれた。助けられました」。そう言って謙そんしたが、恐れず内角を攻めた投球に、同じ轍(てつ)は踏まないという強い意志があった。

 多彩な変化球は大きな武器。打者の手元で球を動かし、バットの芯を外す投球を理想に掲げる。それでも今季は要所で直球を投じる。「途中、暴れるところがあったけど、真っすぐが良かった」。春季キャンプで、臨時コーチを務めた安仁屋氏と宿舎の食事会場で“飲みニケーション”を図った。「いろんな話をしてもらった」。直球の重要性もその一つ。投球の原点を思い出した。

 プロ5年目、89試合目で初の完封を成し遂げた。「チームの勝ちに貢献できたのが良かった。次の登板でダメだったら、ダメなので。いい準備をしていきたい」と前を見据える。攻撃陣が勝利の立役者に間違いない。それでも「きょうは祐輔!すばらしい投球だった」と緒方監督は言った。その弾む声が、チームの思いでもある。

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