鯉ドラ2九里8失点も3・29デビューへ

 「オープン戦、ソフトバンク12‐2広島」(22日、ヤフオク) 

 広島のドラフト2位、九里亜蓮投手(22)=亜大=がプロの洗礼を浴びた。強打のソフトバンク打線に9安打を浴び、4四球と制球も乱れて4回8失点と炎上。シーズン前最後の登板で不安を残す内容だったが、野村謙二郎監督(47)は開幕ローテから外さないことを明言した。公式戦デビューは開幕2戦目の29日・中日戦(ナゴヤドーム)が有力。今回の苦い経験を本番に生かすしかない。

 失投は逃してくれない。四回無死二塁で、李大浩に投じた球が高めに浮いた。その瞬間、快音を残した打球は軽々と左翼フェンスを越えていった。マウンド上でぼうぜんと打球の行方を見送った九里。初めて経験するプロの恐ろしさだった。

 12球団でも屈指の破壊力を持つソフトバンク打線に、完膚なきまでにやられた。試合後、ロッカー室から姿を現した九里は「実力がないだけ。それ以外ない」とつぶやいた。

 生命線の制球も乱れた。三回、2点を失った後の1死走者なしから松田、柳田に連続四球。2死満塁とされると、中村に走者一掃の左中間二塁打を浴びた。野村監督は「(三回は)四球からプラス3失点で5点にしてしまった。無駄な四球は反省しないといけない」と強く促した。

 試行錯誤中の調整法も不調の原因だったかもしれない。大学時代には登板前に毎日のようにブルペン入りしたが、プロでは登板前に何度もブルペンには入らないとチームメートに聞き、今回は18日に1回入っただけに抑えた。登板前日や2日前のブルペン調整が主流の中、登板4日前は異例だけに調整に失敗した可能性があるが、「悪い状態でも抑えないといけない」と言い訳をしなかった。

 ただこれで首脳陣の評価が変わるわけではない。野村監督は「今まで結果を出してきているし、ここでどうこうというのはない」と、予定通り開幕ローテを任せることを明言。「いい言い方をすると、“やっぱりプロの世界は怖い”と感じてもらえれば」と、今回の経験を糧にすることを期待した。

 順調ならば開幕2戦目となる29日・中日戦での公式戦デビューが有力だ。「シーズンでこんな試合は許されない」と自らに言い聞かせた九里。1球のミスが命取りになるプロの世界。その教訓を胸に、デビュー戦で屈辱を晴らす。

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