新助っ投フィリップス、ベール脱いだ!

 「広島春季キャンプ」(12日、日南)

 広島の新外国人左腕、ザック・フィリップス投手(27)が12日、ランチ特打のフリー打撃に初登板し、力強い投球を披露した。キラとエルドレッドに対し21球を投げ、安打性の当たりは2本。独特のフォームから投げ込む角度のある球で打者をねじ伏せた。他球団のスコアラーも助っ人左腕の投球にくぎ付けとなった。

 期待の新助っ人左腕がその片りんをみせつけた。独特のフォームから投げ込まれた角度のある球。風になびく長い髪がまた誇らしい。フィリップスがついにベールを脱いだ。

 左右の助っ人大砲・キラとエルドレッドと対峙(たいじ)した。21球を投げ、安打性の当たりはわずか2本。「初めてにしてはいい投球だった。直球を内外角に投げ分けられたし、ツーシームも良かった」と表情を崩した。

 打者を翻弄(ほんろう)した要因の一つがプレートの踏み方だ。左打者のキラには、目いっぱい一塁側に左足を置き、右打者のエルドレッドには真ん中よりやや三塁側寄りの位置を踏んだ。

 「角度を付けるため。(左打者時は)背中の方から投げるような感覚」。踏み出した右足が一足分クロスステップする独特のフォーム。キラが打席で、普段より半足分後方に立ったことから見ても、一瞬で恐怖心を植え付けたことは明らかだ。

 周囲の評価は急上昇した。投球を背後から見守り、球筋を確認した畝投手兼分析コーチは「角度があっていい球を投げる」。阪神の御子柴スコアラーも「右打者と左打者で球の出どころが違う。日本にはいないタイプ」と絶賛した。

 来日して約2週間が経過。バリントンなどと食事をし、日本で成功する秘訣(ひけつ)を聞いた。「自分を信じて、これまでやってきたことをやればいいと言ってもらった」。米マイナー時代の2010年に先発から中継ぎへ配置転換されたとき、自ら考え、たどり着いた投球スタイル。カープで実績を残す“先輩”の言葉に勇気をもらった。

 4枠の外国人枠を6人で争う。15日からの第4クールに行われる2試合の紅白戦にも登板する予定だ。「自分のできることをやるだけ」。短い言葉に強い思いがにじむ。自らの投球を貫けば、開幕1軍入りは見えてくる。

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