新田・加納健翔 祖父の漁船で鍛え上げ見事な補殺 卒業後は野球に区切り「感謝を伝える大切さ、礼儀をたくさん学んだ」
「全国高校野球選手権・1回戦、花巻東4-2新田」(9日、甲子園球場)
船上で鍛えた肉体が聖地で輝きを放った。二回2死二、三塁、左前への打球を捕球すると、新田(愛媛)の加納健翔外野手(3年)は鋭いワンバウンド送球で二塁走者を本塁で補殺。「5番・左翼」で先発し、守備で魅せた。
幼少期、加納は海上で鍛錬を積んだ。漁師の祖父・一成(かずなり)さんと一緒に船に乗り込み、独特な体幹トレーニングが始まる。揺れの強い舳先(へさき)に立つことでバランス感覚を強化。波の動きを体で感じながら、体幹の強さに磨きをかけた。「あの時期があったから体幹が鍛えられた。今日のバックホームも下半身ががっしりしていたから、いい球がいったのかなと思う」。小さい頃に受けた祖父の“指令”が大舞台での好プレーにつながった。
タイ、ハモ、フグ、エビ…。網にかかった魚をいけすに入れるのが加納の仕事だった。船で祖父と過ごした時間は今もはっきりと思い出せる。「自分はお魚好きで。エビを取るのが一番楽しかった」。野球を始めた時も、一番喜んでくれたのは祖父だった。
卒業後は野球に区切りを付け、製鉄関連の会社に就職する。最後に甲子園で祖父に勇姿を見せることができた。「真剣に野球をやるのはこれが最後。野球を通して感謝を伝える大切さ、礼儀をたくさん学んできたので、そういうことを続けていきたい」。泥だらけになった顔がやり切った証し。すがすがしい表情でグラウンドに別れを告げた。
◆加納 健翔(かのう・けんと)2008年5月30日生まれ、18歳。愛媛県伊予郡出身。174センチ、68キロ。外野手。小学4年時にえひめ港南リトルで野球を始め、砥部中では松山リトルシニアでプレー。新田では1年秋からベンチ入り。好きな言葉は「予想は裏切れ、期待に応えろ」。
