球界に変化の兆し 投高打低の傾向が崩れてきた 野田浩司氏「打力が投手力に近づき始めている」
プロ野球界にちょっとした異変が起きている。そう指摘するのはデイリースポーツウェブ評論家の野田浩司氏だ。目を向けるのは投手と打者の力関係で、しばらく続いた投高打低の傾向が崩れてきているという。理由に挙げるのが打力の向上。その結果、「今年は3割打者が増えるのではないか」と予測する。
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今年は開幕から得点が入る試合が多いというのが率直な感想ですね。昨年までの印象とは違う。ここ数年、明らかな投高打低が続いていたことを思うと、ようやくその傾向に変化の兆しが見え始めた気がする。
(開幕から投手ローテーションが一回りする2カード分、セ・パ合計35試合の1試合平均得点は7・3。昨年(31試合)の1試合平均得点6・3に比べると高い。単純計算すると1チームで0・5点増加したことになる)
今年からバンテリンドームや楽天モバイルパークで、いわるる“ホームランテラス”を設置し、昨年よりも得点が入りやすくなっているのは確かでしょう。
(昨年と今年、各球団とも15試合消化時点==での本塁打数を比較すると、昨年はセ・パ合わせて92本。今年は広島のみが14試合の消化ではあるが、133本と大幅に増加している)
さらに言えばボールが飛んでいるという“うわさ”もあるけどね。しかし、理由はそれだけではないように思う。つまり打者のレベルが上がってきているのではないかということ。
昔から投高打低の時代があったり、打高投低の時代に変わったり、投手と打者との間で“優劣”の変化が繰り返されてきた。
古くは防御率1点台の投手が活躍した時代もあったが、僕らのころは2点台半ばでもタイトル争いができましたからね。
肩ひじは消耗品とされる投手には練習の限界があるが、打者にはない。打者はマシン相手に“なんぼでもやれる”という見方もあった。
ところが、フォームの動作解析やボールの回転数、回転軸などのデータを駆使したトレーニングを積むことで、投手たちが打者を上回る進化を遂げ始めた。特にスピードボールの進化が凄い。
先発投手が100球前後投げたあとを救援陣に託して、それぞれのリリーバーが短いイニングを全力で投げる。そうなると、なかなか点が入らないものだ。最近はそういう展開になっている。
昨年の3割打者はセ・リーグが2人でパ・リーグが1人。異常ですよ。でも今年は少し状況が変わってきているように思う。
投手のスピードに慣れてきたんでしょうね。打者も専門的なアプローチで技術レベルを向上させているし、全体的にインコースのさばきがうまくなってきているように感じる。
完封ゲームや投手戦も見られるが、得点力が増しているこの状況は、投手と打者の個人成績にもはっきりと出ていますからね。
(昨年と今年の4月16日現在の数字だけを比べると、以下のようになる。防御率2点未満の先発投手はセ・パ合わせて昨年は19人。今年は11人と減少)
まだ始まったばかりだけど、最終的にどんな成績になっているか。僕の予想では今の状態が今後も続き、防御率の数字が昨年よりも悪化して、3割打者が増える。
極端な投高打低の時代からは抜け出していくのでは。ゲームとしては面白くなるのかもしれないですけどね。
